近年、多くの企業が「プレゼン研修」の導入を進めている。実はプレゼンを学ぶことは、ただ単に社員のプレゼン能力を向上させるだけではなく、思考やビジネスに対する意識をも変え、ひいては会社全体の生産性アップにもつながるからだ。『社内プレゼンの資料作成術』『プレゼン資料のデザイン図鑑』などの著者として知られる前田鎌利氏が「プレゼン研修」を実施したデータテクノロジーカンパニーであるSupershipホールディングス株式会社もそのひとつ。ユニークな研修プログラムを構築している同社で、なぜプレゼン研修に力を入れているのかリポートする。(ライター:小嶋優子)

左から、Supershipホールディングス(株)人財開発本部 HRビジネスパートナー部・須田可奈絵さん、『プレゼン資料のデザイン図鑑』著者・前田鎌利さん、Supershipホールディングス(株)人財開発本部長・吉田毅さん。

 Supershipホールディングス株式会社は、グループ全体でスタートアップ9社の合併・M&Aにより、2014年に誕生した新興IT企業。データコンサルティング、プラットフォーム事業など、データとテクノロジーを活用した多様な事業を展開する。その成り立ちから、社員研修のプログラムにも特徴がある。

Supershipホールディングス(株)人財開発本部
HRビジネスパートナー部・須田可奈絵さん

「社員はみな、これまでに所属していた企業でそれぞれに研修を受け、実務の専門知識を身につけてきました。そのため、スムースな意思疎通に困難を感じることがありました。そこで、ロジカルシンキング、プレゼンテーションなどの研修を行うことで、社員共通のスキルを習得してもらうことを意図して、“この研修”をデザインしています」(人財開発本部 HRビジネスパートナー部 須田可奈絵さん)。

“この研修”とは、毎年、社内のさまざまな部署から選抜したグループを対象に行われる5日間の研修だ。

 おもしろいのは、ロジカルシンキングやプレゼンテーションなどの基礎研修に加えて、人財開発部が、事前に研修対象者のみならず、部門マネジャー陣に対してもヒアリングを行い、自分が所属する部署で現在課題になっていることやニーズなど、優先度の高いテーマをピックアップ。生産性の向上、顧客への価値最大化など経営課題に直結するテーマを実際の研修内容に組み込み、そのテーマに詳しい社員や社外の専門家を招いて行われることだ。

 さらに、研修の最後には、実際にチームあるいは会社が直面している課題に対して、自分たちで考えた対策をチームごとに発表するプレゼン大会が設定されている。各チームのプレゼンは、「論理性」「プレゼン力」「研修した内容が発揮されているか」といった観点から審査が行われ、優秀なチームが選ばれる。つまり、インプットするだけの研修ではなく、アウトプット、それも、現実の経営課題に対して実効性のある施策を考え、プレゼンすることが求められるのだ。

 なぜ、アウトプットまで行うのか?
 その狙いについて、人財開発本部長の吉田さんはこう話す。

「まずは、研修参加者が自分が属するグループの現状を把握し、環境を理解した上で、その中で何をどう伸ばしていくか、どう問題を克服していこうかを考える。これは、実際の業務のプロセスと同じです。それを疑似体験してもらうことで、思考力やプレゼン力を身につけてもらうとともに、現実の課題解決に結びつけてもらっているのです」