ANAの「空飛ぶホテル」A380はどれだけ快適か、記者が自腹で乗ってみた【新ハワイ対戦(1)】

ハワイ路線を舞台にした日本航空(JAL)と全日本空輸(ANA)の激突を描く「JAL vs ANA 新ハワイ対戦」特集の第1回。国際線を拡大し続けているANAが「JALの最後の牙城」に切り込むため投入した超大型機エアバスA380とはどんな飛行機か。記者が自腹で家族を巻き込み、「フライング・ホヌ(空飛ぶウミガメ)」に乗ってハワイに行ってみた。(ダイヤモンド編集部 柳澤里佳)

話題のウミガメ飛行機は、想像以上に快適だった!

 6月某日、はやる気持ちを抑えながら京成スカイライナーに乗った。成田国際空港から全日本空輸(ANA)の新しい飛行機、エアバスA380に乗ってホノルルに向かうためだ。

「世界最大の旅客機を日本人にとって屈指のリゾートに投入する。新しくてワクワクするような、さまざまなスタイルのハワイ旅行を満喫していただきたい」

 2018年11月、ANAの平子裕志社長はそう力強く語った。ANAはこれまで主にビジネスマンのニーズに応え出張需要の強い路線を展開してきたが、リゾート路線は手薄で、特にハワイ線のシェア(座席供給ベース)は倍以上、ライバルの日本航空(JAL)に水をあけられている。そこでANAはA380を3機購入し、全て成田~ホノルル線に投入。超大型機を武器に戦線を変えようとしている。総額1000億円規模の大型投資だ。

「空飛ぶホテル」とも称されるA380はとにかくデカい。全長73m、全幅(主翼の先から先まで)80m、総2階建てでエンジンを4基搭載している。ジャンボジェットの愛称で親しまれたボーイング747より一回り大きく、現存する旅客機として世界最大だ。運航している会社は世界で10社強しかなく、現在、日本で定期就航しているのはエミレーツ航空とタイ航空、シンガポール航空くらいだ。

 記者は以前、ルフトハンザ航空がA380を成田~フランクフルト線に定期就航していた際(10~13年)、欧州旅行で利用して「飛行機の中に階段がある!」と驚いた。

 そんなA380に対してANAはさまざまな特別仕様を施している。機体塗装はデザインを一般公募してウミガメのイラストを採用、「フライング・ホヌ」と命名した。機内はファーストクラスからエコノミークラスまで総計520席を用意し、ターゲットは老若男女を問わず。万人に好感度の高い女優の綾瀬はるかさんをイメージキャラクターに採用して、宣伝広告を大量に投下、猛烈なアピールを行っている。

 ANAがホノルル線で初めて導入するファーストクラスはスライディングドアが付いた個室空間がウリで、機内食はフォーシーズンズリゾートとのコラボレーションメニュー、空港では特別ラウンジも使える。ゴージャスな割にお値段は35万円~と、ファーストクラスにしては手頃で、そのほかビジネスクラスや、大幅に座席を増やしたプレミアムエコノミーも「頑張れば手が届く」料金設定になっている。

 目玉は他にもある。日本の航空会社で初めて導入したカウチシートだ。エコノミークラスの後方列で、3席あるいは4席連なるシートのレッグレストを上げると、フラットな「ベッド仕様」に早変わりする。専用のシーツと枕も付く。

 面白いのは3席あるいは4席を1~4人で使える点だ。子連れファミリーが多いハワイ線で、子どもがゴロンと横になるなど家族で気兼ねなく広々と使える席のニーズを想定して開発された。記者にはもうすぐ3歳になる子どもがいるが、ハワイは往路が深夜便になるため気が引けていた。が、カウチシートなら大丈夫かも?と思い、夫に有給休暇を取ってもらって、ハワイへ飛ぶことにした。