東京電力ホールディングス(HD)では、2017年に就任した小早川智明社長の超長期政権が続く。次期社長候補の最有力と目されるのは、関係者の間で“ピーチ姫”の愛称で呼ばれる長崎(崎の文字はただしくは“たつさき”)桃子常務執行役なのだが、今春、同年齢のライバルが急浮上した。東電HDの次期社長レースの行方を占う。(ダイヤモンド編集部 土本匡孝)
4月の人事で大本命の長崎氏は
女性初の主要子会社社長に
国内最大手の電力会社、東京電力ホールディングス(HD)。同社の小早川智明社長(59歳)は17年6月に同社史上最年少でトップに就任し、長期政権が続く。
同社が3月8日に発表した4月以降の執行役体制でもトップは変わらず小早川氏で、小早川体制は7年目に突入する。
近年は、「ポスト小早川」の下馬評が社内外で上がり、有力候補者が浮かんでは消えていった。ただし、その中でも有力候補に残り続け、むしろ年々存在感を増している人物がいる。それが東電HD常務執行役の長崎桃子氏(53歳)だ。
年功序列の男性職場という色合いがまだまだ濃い電力業界にあって、若さとダイバーシティ体現という特徴が光る長崎氏。社内外での愛称は「桃ちゃん」「ピーチ姫」。
その長崎氏は4月1日付人事で遂に、東電HDの主要子会社であり電力小売事業を担う東京電力エナジーパートナー(EP)社長就任が決まった。東電EPでは初の女性社長となる。
初物とあって主要メディアが華々しく報道。東電HDの社長就任に向けて着実に駒を進めたかのように見えるが、実は今春の人事では長崎氏を上回る昇進を果たした人物がいた。しかもその人物は長崎氏と同年齢である。
「最近になって東電HDの次期社長候補として頻繁に名前を聞くようになった」。ある東電HDのOBはそう語る。次ページでは、赤丸急上昇中のこの対抗馬の実名に加え、本命の長崎氏が抱える課題も明かし、混沌の次期東電HD社長レースの行方を占う。