脂肪は体内で使い道がたくさん
不要なものは排出される

 まず、脂肪を食べたらそれがすぐに皮下脂肪や内臓脂肪になるというように体はできていません。脂質には必須の栄養素として大切な使い道があるのです。

 脂質は1人あたり約37兆個もある人間の細胞をつくるのに欠かせません。細胞膜はリン脂質という脂肪によってつくられ、しかも絶えずつくり変えられているため脂質はそれだけ必要とされます。

 脂質は各種ホルモンの材料として使われます。プロスタグランジンなどの、ホルモンに似た情報伝達物質にも使われます。多くの人が気にしている脂肪の一種であるコレステロールは、食べ物からの摂取では足りず肝臓で大量につくられていることもわかっています。それだけ必要とされているわけです。

 次に、私たちはそんなに脂肪を摂っていないということにも気づかねばなりません。日本人の1日の平均脂肪摂取量は、男性で74グラム、女性で56グラムです。このわずかな量の脂肪は、細胞膜やホルモン作成に消費されてしまい、余って体につくことはないでしょう。

 それよりも、男性なら平均でも400グラム(脂肪の5.4倍です)近く食べている炭水化物(=糖質)こそ、余って脂肪に変わり貯蔵され太るのです。

 最後に、脂質には吸収されにくい性質があります。炭水化物やタンパク質はブドウ糖やアミノ酸に分解され、ほぼ100%完全に体内に吸収されます。しかし、脂肪は水に溶けにくく腸から100%吸収するのは難しい栄養素なのです。

 とくに肉やバターの飽和脂肪酸は吸収効率が悪く、大量に食べても体内に取り込むこと難しいということがわかっています。(*1)さらに、コレステロールも同様に、吸収効率は良くありません。つまり、脂肪は食べ過ぎても全部体内に吸収されず便に出てしまうのです。(*2)

 以上の理由から、一般的な日本人の食事なら脂肪を摂取して太ることはないので安心して肉の脂を食べてください。