スランプをきっかけに空手を始めた
僕は現在「光遊会」という空手の同好会に通っています。きっかけは僕がスランプで悩んでいるとき、マネージャーに誘われたこと。
わりと軽い気持ちで始めた空手ですが、自分にとって得るものも多くすっかりハマってしまいました。時間に余裕がないので多くても週に2回しか参加できませんが、可能な限り出席して楽しんでいます。
光遊会の代表は山路奈緒仁(やまじ・なおと)先生。10代後半に激しい稽古がもとで一度空手をリタイアし、20代半ばに指導者として空手に復帰した経験の持ち主です。
山路先生は、現役時代に激しい稽古を積んだ経験の持ち主です。しかし、先生は自らが打たれ叩かれしながら根性で習い覚えた空手を、決してそのようなやり方では教えません。自身が無理をして、手痛い経験をしたからなのだと僕は思っています。代のころ、先生は大きな流派の総本部道場で、毎日激しい鍛錬を積んでいました。全国大会に出る猛者が大勢いるクラスで、周囲のほとんどは気力体力の充実した旬の成人ばかり。同年代はほとんどいない上に、指導員も含めた先輩方は自分が強くなることに集中していました。だから、手取り足取り空手を教える雰囲気ではなかったそうです。
そんな環境で先生は、必死についていこうと何年も弱音を吐かずに頑張りました。しかし無理がたたり、日常生活に支障が出るほどの重大なけがをして、リタイアすることになってしまったのです。「辞める悔しさを味わいつつも、何かホッとする気持ちもあった。楽しいことよりも苦しい思い出ばかりだったからね」
先生はそう言います。常に気力をすり減らした鍛錬の日々。それがけがによって解放された一面があるのかもしれません。