平昌オリンピックにて、冬季オリンピックでは過去最多のメダルを獲得した日本。オリンピックという「ここ一番」の状況で、結果を出せるメンタルとはどういったものなのだろうか? 話題の新刊『最先端科学×マインドフルネスで実現する 最強のメンタル』の著者、辻良史氏に伺った。

 

パフォーマンスは、リラックスしすぎても緊張しすぎても低下する

「金メダル」…それは、競技スポーツに携わっているアスリートにとって究極の目標の一つといえます。

 金メダルは、一種目につき一人にしか与えられないため、果てしなく厳しい道のりであることはいうまでもありません。

 ましてや、4年に一度の一発勝負なため、そのピークをオリンピック当日にもっていかなければいけないという点を考えると、プレッシャーは相当なものになります。

 事前の世界大会でどれだけ連覇しようが、オリンピック本番当日の調子が悪ければ、金メダル取得から大きく後退してしまいます。

 前評判では、金メダル最有力候補のアスリートが、いつもの力を発揮できず、悔しい結果に終わってしまった場面をいくつも見てきました。

 一方、そんな厳しい環境の中でも、北島康介選手や、野村忠宏選手、内村航平選手、伊調馨選手、羽生結弦選手など、見事な連覇を成し遂げるアスリートもいます。

 メンタルの観点からこうしたアスリートを分析した場合、本番では間違いなく、リラックスと集中のバランスがとれた程よい緊張状態、集中状態だったことが推測されます。

 これは、パフォーマンスは、リラックスしすぎても、緊張しすぎても、低下してしまうことが分かっているからです。

 つまり、いかに本番当日にこのリラックスと集中のバランスがとれた中レベルの覚醒状態、中覚醒状態をつくり出せるかがメダル取得への一つの鍵となるのです。

 この中覚醒状態を普段からつくり出せることができれば、アスリートだけでなく、ビジネスパーソンにとっても大きな武器となるはずです。

 この中覚醒状態をつくり出すには、ボーッとした低覚醒タイプは集中力を高める必要があり、ピリピリした高覚醒タイプにはリラックスが必要になってくることはこれまでの連載でも書かせていただきました。

 つまり、まずは自分の脳のタイプを知る必要があるのです。

 ボーッとした人が深呼吸をすればさらに脳の覚醒が下がり、注意散漫になってしまい、パフォーマンスは低下してしまいます。

 深呼吸は高覚醒タイプには合っていますが、誰にでも当てはまる方法ではないのです。

 そして、ここで最も重要なことは、試合やプレゼン時などのストレス時に自分の心身がどういう状態になっているかをよく把握する必要があることです。

 つまり、普段の自分とストレス時の自分です。

 この二人の自分は、ほとんどの人で全く違う脳のタイプに変貌します。

 普段、ボーッとしていてもストレスがかかると、脳が興奮状態になる人もいれば、普段ピリピリしていてもストレス時に覚醒が下がり注意散漫になってしまう人もいます。