直近業績でも、この戦略がはっきりと見て取れる。18年は売上高ベースではスマホが1138億元(約1兆7600億円)で、インターネットサービスの160億元(2480億円)を圧倒している。だが事業利益では、スマホが70億元(約1090億円)、ネットサービスが100億元(約1550億円)と逆転する。「モノではなくサービスを売れ」との戦略は今でこそよく聞くが、10年前の創業時点からこれを志向したのは画期的だった。
販売ルートも革新的だ。シャオミは強力な直営EC(電子商取引)モールを持ち、中間流通事業者を通さず直接販売する戦略を取った。後に代理店や携帯キャリア経由の販売も追加したが、直営ECストアと直営店舗の充実ぶりは他社を上回る。また、シャオミのブランド力と販売チャネルを利用してさまざまなサードパーティのアイテムを販売する小売り事業者としての地位も確立した。「ハードウェア、ネットサービス、自社製品以外も売る販売チャネル」がシャオミを支える三本柱であり、創業者の雷軍氏はこの戦略を「トライアスロン」という言葉で表現した。