創業時の三本柱に加え、後にもう一つの主要事業が加わる。それがIoT(モノのインターネット)だ。ウェアラブルバンドやVRゴーグルといったガジェットから、エアコンや炊飯器、洗濯機などの白物家電まで、多くの製品がラインナップされている。

中国シャオミ日本上陸、ソニー・シャープを超える成長戦略の凄みシャオミが発売した炊飯器。遠隔で炊飯開始を操作できるほか、お米の品種にあわせた炊き方も設定できる。価格は9980円(税別)とこれもお手頃  写真提供:シャオミ

 その開発方法も独特。自社では開発せず、有望なベンチャー企業に出資し育てるという方針だ。シャオミの出資を受けた企業群は「シャオミ・エコシステム」と呼ばれ、その数はすでに100社を超えているという。ニューヨーク証券取引所に上場した華米科技(ホワミ)など、株式公開する規模にまで成長した企業もある。

 シャオミ・エコシステムの一員であるIoT楽器メーカーPopumusicの李維マーケティング・ディレクターは、過去の筆者の取材に対し、シャオミによる支援を次のように語っている。「資金提供だけではありません。コストダウンのためのサプライヤー探しでも、シャオミの豊富なネットワークが生きました。何よりシャオミの販売力が大きい。今、私たちの販売ルートはシャオミが過半を占めています。買い上げ方式なので、在庫リスクもシャオミに負担してもらえるのです」。

 ハードウェアベンチャーが成功する難易度はソフトウェアより高い。資金やノウハウ、在庫リスクなど多くの課題があるためだ。シャオミは有望ベンチャーを育て、自社の製品ラインナップを強化し、上場まで行き着けばキャピタルゲインも狙えるという理想的にも思えるシステムを作り上げている。