「高いワイン」の楽しみ方にルールはあるのか
中野 『高いワイン』という書籍タイトル、実にストレートで素晴らしいですよね(笑)。この後にはまさに「高いワイン」の試飲会があります。どのような飲み方をすれば「高いワイン」をより楽しめるのでしょうか。
渡辺 ワインを楽しむのにも、表現するのにも「決まり」なんてありません。「このワインはこの香り」「このワインはこの味」という決まりはないんです。だからワインを飲んで自分が感じたことを、周りの方々と自由に表現し合ってみてください。
フランスでワインの勉強をしているときには、1日50種類のワインをテイスティングしました。とにかく飲んで、何か感想を言わなければならないんです。あるワインを飲んだとき、私が真っ先に感じたのは「竹の香り」「竹の味」でした。ワインを表現するのに「竹」ってどうなの? って思いますよね(笑)。でも私は、感じたまま「バンブー(竹)」って言ったんです。そうしたら「ジュンコは天才だ」「今までこの香りと味を『竹』と表現した人はいなかった」と大絶賛を受けました。みんな「確かにこの香りと味は、竹だな」と思ったんですね。だから皆さんも、「こんな味がすると感じたんだけど、これはちょっと間違ってるかな」なんて思う必要はないんです。感じたままの感想を言うのが楽しいんですよ。
中野 確かにそうですよね。「ワインが好き」と公言するのはハードルが高いと私は感じるんです。その理由のひとつは、「好きと言うからには、ある程度の知識がないといけないのではないか」と考えてしまうから。「5大シャトーくらい知らないと好きって言っちゃいけないんじゃないかな」なんて考えてしまう。でも「味が好き」「大切な思い出があるから好き」というように、もっと自分の感情に素直に「好き」って言っていいものなんですよね、ワインも。
渡辺 「これを知っていなければワイン好きとはいえない」「何本持っていなければダメだ」なんて基準はないんです。考えすぎずに楽しみましょう。
対談を終えると、いよいよ試飲会へ。参加者たちは、「エルミタージュ・ラ・シャペル ポール・ジャブレ・エネ」と「オスピス・ド・ボーヌ・1er・キュヴェ・ダム・ゾスピタリエール(2016)」の2種類の高級ワインを嗜んだ。
会場では、特別協賛各社もブースを出展した。世界的高級車ブランド「キャデラック」は、屋外に実物を展示したほか、会場内ではモニターでその走りを紹介。また高級ラグジュアリー腕時計ブランド「ティレット」もきらびやかな商品を展示し、華やかな雰囲気を彩っていた。
会場となった寺田倉庫は、「モノだけではなく、価値をお預かりする」という理念に基づき、ワイン・アート・メディアの保存・保管を軸に事業を展開。ワイン事業は厳選されたインポーターが出店するワインマーケットでの購入から、クラウドで1本単位で預ける保管、管理までをワンストップで受けられるサービスを提供している。
当日は寺田倉庫が誇るワインセラーのツアーも組まれ、参加者が殺到。ワインへの興味をさらに深めるスペシャルな一夜となった。