世界のビジネスエリートが知っておくべき「教養としての一流ワイン」を紹介する一冊、『高いワイン』。その刊行記念イベントが11月18日、東京都品川区の寺田倉庫「T-ART HALL」で開催された(主催/ダイヤモンド社「The Salon」 特別協賛/キャデラック、ティレット 協賛/ザッキーズ、ウィナーズ(レコルト) 特別協力/寺田倉庫)。イベントでは、著者の渡辺順子氏による講演のほか、各メディアで人気の脳科学者・中野信子氏と著者との対談も実現。さらに高級ワイン「エルミタージュ・ラ・シャペル ポール・ジャブレ・エネ」の試飲会も行われ、会場は大いに盛り上がった。(取材/前田浩弥 撮影/斉藤美春)

高いワインはなぜ、飲んだ人に自信をもたらすのか?

天皇陛下即位の礼、晩餐会で振舞われたワインが持つ意味とは?

 イベントではまず、著者の渡辺順子氏が登壇。大手オークションハウス「クリスティーズ」のニューヨーク支社に勤めていた時代のエピソードを皮切りに、ワインスペシャリストとしてウォール街のエリートたちにレクチャーしていた教養を伝授した。

 1766年創業の「クリスティーズ」。長い伝統を持つ同社では、2001年に渡辺氏がワイン部門に入るまでは「白人だけ」の社会だった。そのため「アジア人初のワインスペシャリスト」として活躍された渡辺氏も、初めのうちは気後れすることばかりだったようだ。

 しかし渡辺氏は、持ち前のワイン知識を磨き、信頼を築いていく。「普段は到底お会いできないような実業家・資産家の方々と、ワインについては対等にお話をさせていただいた。このとき、ワインの知識はビジネスにおいて有利になるんだと感じた」と語る。

高いワインはなぜ、飲んだ人に自信をもたらすのか?「ビジネスとワインの教養」について、自身の経験も踏まえながら講演する渡辺氏

 ウォールストリートのゴールドマンサックス社からの依頼で、若手社員に向けてワインの教養やテイスティングを指導する機会にも恵まれた。その後、レクチャーした若手社員からは「重要な顧客とのディナーで役立った」「パーティーで活躍できた」などの声をもらって感激したという。

 ワインはビジネスだけではなく、外交面でも非常に大きな役割を担う。

 10月に行われた天皇陛下即位の礼。晩餐会では「コルトンシャルルマーニュ」の2011年と「マルゴー」の2007年が振る舞われ、海外メディアは「とてもよいワインが出された」と大々的に報じた

 安倍首相夫妻が主催したディナーでは日本のワインが振る舞われ、海外の要人たちに「日本産ワイン」の質の高さをアピールする機会にもなった。海外でも同じく、ワインは「はるばる訪れた要人へのもてなし」と「自国のアピール」を担うツールとして重宝されている。

 渡辺氏はその後も「経済とワイン」「投資とワイン」などのテーマで、参加者に「ワインの教養」を伝えた。