子どもの「自己肯定感」が低い一方、
60代以降の「自己肯定感」は最高!

 日本の成人を対象とした調査でも、10代にかけて低下した「自己肯定感」は徐々に上昇し、60代もしくはそれ以降がもっとも高いという結果が得られています。

 この結果をどう捉えるかについては、いろいろな意見があります。人は高齢期になってやっと「自己肯定感」が高くなり、自分に満足することができるが、それまでは自分について比較的否定的な捉え方をしてしまう、といえるのかもしれません。

「自己肯定感」の高い元気なお年寄りが、自分の経験をもとに子育てに口を出したり、意見を言ったりすることがあります。そうなると子育て中の親も子どもも受け身体質となり、「自己肯定感」は下がってしまいがちです。60代以降の「自己肯定感」がもっとも高いという調査結果は、日本の育児の問題を暴いているのかもしれません。

 また、最近の調査では、高齢者を除いた日本人の「自己肯定感」が以前より低くなっているという報告があります。「自己肯定感」の低下が、社会的弱者の排除や政治的保守化などに結びつくという意見もあります。日本人の「自己肯定感」が低いということは、共生社会や諸外国との関係にも悪影響を及ぼしかねません。

(次回に続く)