「変動金利型」の過去の金利推移を確認すると…

 変動金利型の住宅ローンについては、金利上昇リスクに対する警鐘がよく鳴らされますが、実際にどの程度のリスクがあるのかをしっかりと検証したものはないようです。筆者も単行本という形でお伝えするのは初めてですので、偉そうには言えません。

  マイホームを取得する人に対しては、変動金利型の低金利に頼った無理な資金計画にならないよう、リスクを認識してもらうような話はします。
  しかし、今回、本書をご覧いただいている方々は、すでに住宅ローンを返済しているわけですので、「買ってもよいかどうか」という最大の命題はすでに通過している状態です。したがって、とにかく将来のために、いまの超低金利のチャンスをどう活かせるかが重要となります。

  まずは、過去のデータをご紹介しましょう。
  下のグラフは、新短期プライムレートに連動するタイプの変動金利型ローンの取扱いが進んだ平成6年9月以降の、変動金利型ローンの基準金利の推移です。

  自由化以後の変動金利型ローンの金利は、半年ほどで3%台に突入し、自由化から1年後の平成7年9月には2%台に低下しました。それ以降、一度も3%台には戻していません。
  事実上の自由化が始まった平成6年9月から平成24年7月までの平均は、基準金利で算出しても「2.57%」という低い水準です。
  そして、2%台となってから、間もなく17年が過ぎようとしています。

 過去の金利は平均で4%程度の水準とよく言われますが、これは昭和58年に民間住宅ローンで変動金利型が登場して以来の、長期金利に連動して金利水準が設定されていた時期も含めた約30年間の平均だということを、まずは理解しておきましょう。