「金利ミックス型」にも注目したい

 変動金利型と、全期間の固定金利型や条件のよい「10年固定」のどれで借り換えればよいか、本当に迷ってしまって結論が出ない場合もあるでしょう。

 その際には「金利ミックス型」という方法を利用するのもひとつの方法です。取り扱っている金融機関によっても異なりますが、さまざまな金利タイプから2つ(ソニー銀行では3つ)を組み合わせて借りるというプランです。

 著書では、金利などの条件が魅力的な「ミックス型」を取り扱う、おもな金融機関をまとめたておきました。「全期間固定金利型+変動金利型」と、「全期間固定金利型+10年固定」、そして「10年固定+変動金利型」の3つのどれも、魅力的な組み合わせができそうです。

 たとえば、某銀行の金利ミックスプランを利用して25年返済で借りた場合、8月の金利水準では、全期間固定金利型と変動金利型を組み合わせるとによって、借入当初の平均金利は1.6125%(保証料込み)となります。将来的に金利が上昇しても、変動金利型の借入れ部分だけしか影響を受けません。

 このプランのメリットは、金利ミックス型を利用すれば、資金運用におけるポートフォリオ効果のようなものが住宅ローンでも期待できるため、金利上昇に対するある程度のリスクヘッジができるという点です。

  一方、デメリットは、それぞれ別々のローン契約となり、印紙税が2本分かかる点くらいでしょう。また、抵当権を設定する際の司法書士への報酬も多少高くなりますが、融資の際の事務手数料は通常と同じところが多いようです。
  すべてを合わせても数万円程度の負担増ですので、金利上昇に対する保険料だと思えば安いものでしょう。

 ただし、ローン契約は2本なのに、それぞれの返済期間は同じに設定しなければなりません。たとえば、「10年固定を25年返済にして、変動金利型は20年返済にする」ということができればさらにすばらしいのですが、対応している金融機関を筆者は知りません。

 手持ち資金に余裕がある人に限られますが、異なる返済期間を利用したいと考える場合の「裏技」を著書でご紹介しておきましたので、ご参照ください。


<追記>
この連載の第2回目で、「B銀行」の変動金利型について、ホームページでの説明が不十分だとして厳しく批判しましたが、その後、連絡があり、現在、わかりやすい表現で手直しを行っているということです。
速やかな対応に、B銀行さんに対する評価を改めると同時に、第2回目における当該箇所の記述を変えさせていただきましたことをお伝えします。


【ダイヤモンド社書籍編集部からのお知らせ】

「変動金利型ローン」の金利上昇リスクは<br />どれぐらいあるか?定価:1,575円(税込) A5判・並製・256頁 ISBN978-4-478-022238

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「ゆとり返済」の危険性に最も早く警鐘を鳴らし、かつての「繰り上げ返済・借り換えブーム」の仕掛け人となった、ファイナンシャル・プランナー・浅井秀一が、緊急出版。住宅ローン金利が史上最低水準になったいま、「最大の借り換えチャンス」ともいうべき状況がやってきていると著者は主張します。諸費用をほぼすべて含めて借り換えしても、固定金利どうしの場合、いま返済している住宅ローンより実質金利が「0.3%程度」以上低ければ、大きな借り換え効果が確定するでしょう。住宅ローンを借りているすべての方に読んでいただきたい一冊です。

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