新取締役候補は内田誠、アシュワニ・グプタ、ピエール・フルーリョに関潤氏の4人としていたが、関潤氏の辞任申し入れにより、代わりに坂本秀行氏に変更したと説明した。

 確かに、この臨時株主総会招集通知には、内田・グプタ・関・フリューリョの順で新任取締役候補者の略歴・選任の理由が記されていたが、これに一部変更として、変更後の坂本候補者の略歴・選任理由を記した紙ペラ1枚が挟み込まれていた。

 関執行役副最高執行責任者が年末のクリスマスの12月25日に突如、退任して日本電産に転出(日本電産次期社長含み)したことで、指名委員会が慌てて代わりに坂本執行副社長を取締役候補に推したのである。

 内田新社長の略歴は、1991年に日商岩井に入社し2003年に日産入社の商社からの転入組だ。

 日産では14年にルノー共同購買プログラムダイレクター、16年に常務執行役員、18年に専務執行役員・東風汽車有限公司総裁、19年12月に代表執行役社長CEO就任で、直近は中国事業責任者として中国に駐在していた。今、問題のコロナウイルスの発祥地の武漢は、まさに日産の中国生産の本拠地である。

株主24人からの
具体的な質問・意見とは

 その内田新社長は、この株主総会に初登場で議長を務める緊張の面持ちで、日産がゴーン元会長の重大な不正を許したことについて、「ガバナンス是正で昨年12月から新執行体制に移行する中で、ゴーン元会長の国外逃亡が明るみに出て極めて遺憾だが、適切な法的手段で対応していくこと」を強調した。

 日産の置かれた現状については、「先の第3四半期決算で想定を超える販売減少、特に北米販売減が響いて大幅な減益となったが、米国での販売正常化など方向に間違いはなく、ブレずに進めていく」と述べた。

 だが、「世界販売・収益の先行きは不透明であり、今通期は厳しい見通しで期末配当を見送らせていただく。将来へ着実な成長を進めるべく、早期に収益性向上へ合理化・効率化を断行していく。足元の収益をふまえて、2022年までのマイルストーンへ5月に新中期経営計画を策定する」と述べた。

 その重点戦略として(1)日産のコアへ集中と選択、(2)実行力とスピード、(3)着実な成長に向け、社内改革の断行、を挙げた。