その理由として日産は過去、権力争いの歴史を繰り返しており、破綻の原因ともなっていることで「ゴーン不正の全容を公開することで全貌がわかることになるから…」と、木村取締役会議長に答えてほしいとの質問があった。これに対し、内田議長は「昨年9月に発表したリリースがあり、刑事手続きのため開示できない」と答え、「西川もここに出席しているが、権力争いは一切ない」ことも強調した。

 また「100億円の損害賠償を求める民事訴訟を起こしたが、取り戻せるのか」「350億円が不正行為の規模としているなら、レバノンからゴーンを引き戻すため15億円で懸賞金をかけてでも取り戻すべきだ」との意見も出た。

 また、ここ1年で西川前社長退任、山内暫定CEOから内田新社長体制と経営トップが代わる中で、「内田新体制のトロイカの一角だった関副COOの1カ月足らずでの辞任(日本電産転出で次期社長)はなぜなのか」、「経営陣のコミュニケーションができていないのでは」との質問もあった。

 これに対し、内田議長は「関氏本人から年末に連絡があったが自己都合であり、意見の相違はない」と答えた。

 また、経営体制の混乱があるように見えたとしたら「全て私の責任であり経営陣の責任は重く受けとめている。今後、厳しい覚悟で必ず強い日産にして株主の目に見えるようにしていくこと。見えなければすぐ、クビにしてもらっても…」と悲壮なほどの覚悟を示したのも印象的だった。

 販売不振と赤字の原因については、「車齢が長くなっているのは、車種ラインナップが縮小しているからでは」「ノートのライバル車が相次いで投入されているがその影響は」との質問に対し、内田議長は「来年以降、グローバルな展開で日本市場も適切なラインナップの見直しを行い、EV・SUVがブレークスルーとなっていく。まず、日本から始まって来年度から見える形となる」と答えた。

 さらに販売担当の星野朝子副社長は「ノートのライバル車が出てきたが、e-パワーは日産の電動化技術の積み重ねでさらなるパワフルなe-パワーを投入していく」とした。

 販売の質問になると、壇上奥の星野朝子副社長を見て答えさせるのは、購買調達畑の内田社長の求めるところか。

質問者からは
同情と激励の声も

 昨今の話題である中国の新型コロナウイルスの影響に対する質問については、内田新社長は直近まで中国事業を統括し中国に駐在していただけに、「中国で生産を再開しても部品・物流で影響は大きく、台数に影響は出てくる。中国市場への影響とともに中国から日本への部品供給の問題もある」と厳しい見方を明瞭に答えていた。