また、内田社長自身は尊重・透明性・信頼を大切にして社長就任以来、国内外の現場を訪問して日産の置かれた現況認識を共有しており、「覚悟をもって経営に当たっていく」ことを強調した。

 実際、日産の業績はゴーン元会長の不正が明るみに出て以降、悪化の一途をたどっており、この第3四半期(10~12月)決算は、同期として11年ぶりに赤字転落となった。今通期はかろうじて黒字となる程度で、中国の新型肺炎感染の終息が遅れるほど、特に日産の業績に痛手となり、実質来期はより厳しいものとなりそうだ。

 このため、先述したように株主総会での質問には全部で24人が立ったが、質問というより経営陣への意見や要望、叱咤の声が多くを占めて、議長の内田社長が壇上で立ち往生する一幕もあったほどである。

 株主24人からの質問・意見を整理すると、

・業績の大幅な落ち込みに対する厳しい経営責任の追及
・レバノンに国外逃亡したゴーン元会長に対する徹底的な対応
・この1年の経営体制の混乱
・日産車が売れないのは新型車投入の遅れとラインナップの必要性
・ルノーとの株式持ち合い見直し

 などに大きく分けられた。

業績ダウンへの
経営責任の追及について

 まず、業績ダウンへの経営責任の追及については、「大幅な減配はやむを得ないとして経営責任であり、内田新社長以下取締役・執行役経営幹部57人全員の報酬は1000万円以下であるべきで、報酬委員会で決断する動議を…」との声からスタートした。

 また、西川前社長に対する経営責任を問うことで「退職慰労金はゼロとすべき」との質問も出た。

 これについては、壇上右側の端の席に西川・山内取締役が並んでいたが声を発することはなく、あの自信満々だった西川氏は壇上で伏し目がちに見えた。

 すべての質問には内田議長が答え、役員報酬減額についても「5月の中計までに経費削減も含めて検討する」「非常に重く受けとめている」との発言にとどまった。

 ゴーン元会長の不正疑惑については、「日産社内調査の全容を公開してもらいたい」との質問があった。