このほか、

「日産の業績低迷で親会社ルノーとの株式持ち合いに変化はあるのか」

「日産の新中計を5月になんて、のんびりしていると株価がもっと下がり、ルノーに買収されるのでは」

 との質問も出た。

 内田議長は「株主利益は大事であり、ルノー筆頭株主だけではない。アライアンスに関しては日産がコアとなるものを明確にしてアライアンスアセットを使って貢献していく。新中計の中で取り入れ日産の強い部分を伸ばしていく」との発言にとどまった。

 以上が主な質問、意見や厳しい問いであり、ほとんど内田議長が答える形で2時間40分の間、休憩もない中での質疑応答の主な流れだった。

 その中で「なぜ、登壇者の自己紹介はないの?誰が誰だか新経営陣がわからない。ぜひやってほしい。必要なら動議とする」との質問があったが、内田議長は「大変申し訳ないが準備していない。今後の運営で検討する」と答え、この動議に対して会場の拍手を求め、大半が賛成の拍手をしたにもかかわらず「過半数に達していない」と下し、「過半が拍手している」との質問者が再度求めても応じなかった。

 また、西川氏や木村取締役会議長に発言を求めた質問者も無視して自らが答えた内田議長の、議事運営不適切で議長不信任の動議も出されたほどである。

 最後には、「内田議長が目の下にクマをつくるほど疲労の色が見えて大変だな」と質問者からは同情と激励の声も上がったほどだった。

仏政府も絡んで
日産・三菱自連合とのアライアンス関係は

 今回の日産臨時株主総会は、昨年4月の臨時株主総会・6月の定時株主総会に続くものだったが、筆者はいずれの株主総会にも出席した。

 前の2回は西川前社長が仕切り、ポストゴーンで日産のリーダー役に躍り出てやる気十分だった。それが今回は、日産の業績不振が想定以上に悪化していること。加えて親会社の仏ルノーが19年12月期(1~12月)決算で10年ぶりの赤字、日産傘下の三菱自動車も第3四半期累計(4~12月)での最終損益が118億円の赤字と3社連合が共倒れ状態の危機にある。

 足元の業績回復が3社ともに大きな前提となるが、世界市場は経済停滞で厳しい見通しにあり、加えて中国発の新型肺炎感染の終息が見通せずに影響が拡大する恐れがある。

 となると、この3社アライアンスがどうなるか、3社の力関係と資本構成のねじれを見直して、この100年に一度の自動車大変革時代を生き抜けるのか、大きな岐路に立っているといえよう。