それはただの偶然だったのかもしれない。しかし「偶然」という言葉を「運命」と置き換えるだけで、エンジンの回転はぐんぐん早まった。そしてその勢いは、どんどん周りを巻き込んで竜巻のように大きくなっていく。
ダイヤモンド社より『コピーライターじゃなくても知っておきたい 心をつかむ超言葉術』を刊行したコピーライターの阿部広太郎氏が出会った、心に残る素晴らしい企画を紹介する。そう、人は言葉だけで熱くなれる。

5月18日が何の日か、<br />知っていますか?<br />Photo: Adobe Stock

偶然を必然に変える力

2019年5月18日、連続講座「言葉の企画」の第一回目。
自己紹介の課題に加えて、課題をもう一つ出していた。
「講義内にできる、一生忘れられない経験を企画してください」
課題文に込めたメッセージとしては「そもそも、一生忘れられない経験とは何か?」
この問いから、マイ定義をした上でスタートを切ってほしいという思いがあった。
蓋を開けてみると、「一生」という強いキーワードに引っ張られて、非日常に起こるイベントを意識した企画が多かった。

・胸キュンをつくるために告白タイムをつくろう企画
・観覧車全台に乗って記念撮影をしよう企画
・宣言をテープに吹き込んでタイムカプセルをつくろう企画
・子どものように椅子取りゲームをしよう企画
・みんなで本気のだるまさんがころんだをやろう企画

そして、一番票を集めた企画は、産業保健師の立山紫野さんが考えた、「記念日をつくろう企画」。日常の新定番をつくろうという提案だった。
概要はこうだ。

父の日、母の日があるように「ことばの日」という記念日をつくろう。
講義の初回の日は、5月18日で、まさに、ことばの日。
調べたところ、ネットで「5月18日はことばの日」と言っている人がいるが、日本記念日協会には登録されておらず、非公式。
公式の記念日にするために、この講座に集まるみんなで力を合わせて申請しよう。
記念日として定着すれば、毎年、5月18日がやってくるたびに、講座「言葉の企画」のはじまりを思い出すはず。
何よりこの企画が実現すれば、日本中で言葉について考える日になっていく、と。