その状況に拍車を掛けているのが、中国人ブローカーの激増だ。1回で数百万円する施術もあり、リベートの額も大きいため、ブローカー団体に所属していても客が取れるようになれば次々と独立していく。

 中には客から取る手数料を施術代の5割に設定するような悪質なブローカーもいるようだ。また、医師と中国人ブローカーが結託し、暴利をむさぼるクリニックもあるという。結果、アメーバのように中国人ブローカーが増えていき、「毎日営業が来る」状態になったというわけである。

 一方で、中国人相手はもうかるとはいえ、基本的には1日で手術を終えて帰国してしまう。このためアフターケアができないのは怖いという理由で、中国人客は受け付けないという良心的なクリニックもある。

 ただ、こうした美容医療バブルは、新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大により、一気にはじけた。

 ドクタースパ・クリニックの中国人客の売り上げは、従来、多い時期で約4割を占めた。ところが今年2月以降は減少の一途をたどる。稼ぎ時だった春節を逃した痛手も大きい。中国人ブローカーも全く顔を見せなくなったという。

 突然訪れた危機のさなか、鈴木氏が期待を寄せるのが、リクルートライフスタイルが運営する美容関係の検索・予約「ホットペッパービューティー」だ。今年3月からここに「美容医療」のジャンルが登場する(本特集#4で詳細を解説)という営業が来たため、鈴木氏はその話に乗ったのだという。「(リクルートが)美容医療の認識を変えることに期待している」(鈴木氏)。

 中国人富裕層がここ数年の日本の美容市場バブルを引き起こしていた。上客の当てが外れたプレーヤーたちは、新しい客を探して動き始めている。

Key Visual by Kaoru Kurata