身近で安価なものになったとはいえ、まだまだ美容医療トラブルは減っていない。特集『美容医療 美は金で買える』(全8回)の#5では、国民生活センターや消費者庁に寄せられた苦情やトラブル事例を教訓に、専門家や現役医師に聞いた悪徳医師・悪徳クリニックの見抜き方を伝授する。(ダイヤモンド編集部 相馬留美)
美容医療のトラブルは
5人に1人が男性に
「(美容医療)業界をクリーンにするのは、はっきり言って難しいですよ」──。
どうすれば美容医療に関するトラブルはなくなるのかという記者の質問に、美容クリニック大手、聖心美容クリニックの鎌倉達郎統括院長は苦笑いしながらそう答えた。
同クリニックは、悪徳美容クリニックを擬人化した“モンスター”を登場させた動画を制作するなど、美容医療業界の啓蒙活動に励んでいるが、なかなか手応えがないようだ。
国民生活センターの調査によると、「美容医療サービス」の相談件数のピークは2014年度の2501件。18年度は約2000件、19年度も前年度並みの予想で、漸減している。
減少要因として大きいのは法改正の影響だ。まず17年12月に改正特定商取引法が施行された。これにより、要件に該当すれば美容医療サービスでもクーリングオフが可能になった。
続けて18年6月には改正医療法が施行。「医療広告ガイドライン」が改められ、医療機関のウェブサイトに広告規制を導入。虚偽広告や誇大広告等が禁止されることになった。
ただし、増加しているものもある。それは男性の相談件数の割合だ。14年度は全体の17%だったが、18年度は22%にまで上昇。男性はローンを組んだり、クレジットカードを使ったりすることが多く、契約金額も女性より高めになりやすいという。
美容医療のトラブルは大きく分けて三つに分類される。国民生活センターに寄せられた事例を挙げて説明していこう。