一般の広告代理店は課題解決のプロだが、ぼくらが立ち上げたGOは事業成長のパートナーになる。立ち位置が、目指す場所がそもそも違う。

 作るのはCMだけじゃない。その事業を進めるのに最適な組織を作ったり、事業展開のアイデアを出したり、会社の名前や人事制度を考えたりもする。

 なぜそこまでするのか? 彼らは社会の変化を察知して「変わりたい。変わらなければ」という想いを胸に、ぼくらGOの門を叩いてくれるからだ。

 ぼくらは全力でそれに応えたい。「いいから行けよ」といういつもの口癖を、500万倍くらい丁寧に、大声で叫び続けたい。

 GOのクライアントに対するスタンスと、ぼくが『人脈なんてクソだ。変化の時代の生存戦略』を通して皆さんに伝えたいことの根っこは、だいたい同じだ。変化の本質を把握し、凝り固まった旧来の発想にとらわれず、躊躇なく自分を変える。そのための知識と心構えと、ちょっとした工夫を書いた。

 昨日決まったビジネスのルールが、今日はがらっと変わっている。何十年も盤石だった大企業が、ついこのあいだ起業したスタートアップにコテンパンにやられる。そんな激動の(でもクソ面白い)時代に生き残るのは、簡単なことではない。

 だけど、もう一度言っておこう。

 生き残るのは強い者ではなく、変化し続けた者だ。

「働き方改革」なんてクソだPhoto: Adobe Stock

労働時間の長さではなく
自主性の喪失に問題がある


 くは、22時に強制退社する制度を、一括りに否定するつもりはない。

 ただ、ブラック企業の本質は労働時間そのものではないと考えているのだ。問題の本質は労働時間の長さではなく、自分の望むと望まざるとにかかわらず仕事をやらされてしまう状況なのだ。仕事における〝自主性の喪失〞に問題があると考えている。

 なので、電通が一律に「22時に帰らなきゃダメだ」と強制するのは大いなる矛盾。労働における自主性の喪失という問題を、より大いなる自主性の喪失によって解消しようという、きわめて矛盾した通達に見える。

 電通の22時ルール施行直後、同社の若手のクリエイターがぼくに「上司が明日までにこの資料を仕上げろって言うんですけど、総務部長は22時までに帰れって言うんですよ。どうすればいいんですかね?」と、泣き笑いで相談してきたことがある。

 一人ひとりの状況、個別の事情を無視して、誰しもが決まった時間に帰らなければいけないと決めつけるルールは、社員を尊重しているようで、実際は組織の事情を優先しているに過ぎない。 繰り返すが、問題の本質は労働時間の長短ではなく、労働における主体性の有無にある。電通に古くから伝わる「鬼十則」がこの問題で世論の波を受けて取り下げられてしまった。しかし、中身をよくよく読んでみれば、「主体性を持って仕事しろよ」ということを(ハイテンションに)書いているだけなのは、皮肉な話だよな。