一度もやらないより一度やったほうが圧倒的にいい
一方、まったくやっていないと、次にそれに触れた時も新規な情報となり、心理的な障壁が上がり、やってみたくてもなかなか踏み出せないということになります。
このことによって、世界が狭くなっていってしまいます。それほど、「やる」と「やらない」の差は大きいのです。
たとえばピアノにしても、子どもの頃にやっていて一度やめてしまったとしても、大人になってまた再開したり、経験者であることで、音楽をより深く楽しめるようになります。
もうひとつ重要なことは、そこからの人とのつきあいが生まれ、世界が広がるということです。このことが人生全体に及ぼす効果は、はかりしれないものがあります。
たとえば私自身、職業は脳科学者ですが、少しだけピアノを嗜む経験があったことで、世界的な音楽家とお話をさせていただく機会があったり、楽器メーカーとコラボレーションして、楽器演奏の効能を脳科学的な見地からPRする仕事につながっています。つまり、一度やったことがある」という経験を、専門的にやっていることにプラスすることで、別のものを生み出しているわけです。
ですから、決してただ単に「趣味として楽しむ」だけではなく、さまざまな可能性を広げていく作用があるのです。
「この子は飽きっぽくてなかなか続かないんです」
というのもよく聞く親のセリフのひとつですが、飽きっぽくてもいいからいろいろなことに手を出すことが大事なのです。やってみないことにはわからないのですから。
やらないよりやったほうが圧倒的にいいのは間違いありません。「三日坊主」は大いに推奨すべきことなのです。