アルコール性肝疾患を防ぐには
お酒を断つしか道はない
まず、アルコール性肝疾患を防ぐには、ずばり、お酒をやめることです。肝臓にこれ以上負担をかけないためには、禁酒しか方法はありません。
非アルコール性肝疾患の場合は、日々バランスの良い食事を心がけ、適度な有酸素運動を続けることが大切です。アルコール性か否かにかかわらず、十分な休養と睡眠を取るなど、生活習慣を改善することも肝臓への負担を減らし、肝疾患の予防につながります。
お酒が好きで、すぐにお酒を断つことが難しい人は、たとえば「1日に350mlの缶ビール1本まで」といった制約を作って、それを守ることから始めてもいいでしょう。1日にどれくらいアルコールを摂取したら飲み過ぎになるのかは、人によって異なります。大切なのは「自分の『飲み過ぎ』のラインを知っておく」ことです。
横浜市立大学大学院医学研究科 循環制御医学 主任教授。エール大学医学部留学を経て横浜市立大学医学部卒業。マサチューセッツ総合病院科研究員、コロンビア大学、ハーバード大学医学部助教授、ラトガース大学医学部教授・同付属病院指導医(循環器内科)等を経て現職。日本および米国医籍登録(ペンシルベニアおよびニュージャージー)。病気についての正しい知識をやさしい言葉で紹介する「Open Doctors」の監修医師も務めている。
自分の体のアルコール摂取許容範囲を知るには、健康診断を受けるのが一番です。血液検査でわかる「γ‐GTP」という数値は、肝臓に多く存在する酵素です。肝臓の細胞が壊死すると、中に含まれていたγ‐GTPが血液中に放出されるので数値が高く出ます。一般的なγ‐GTP検査値の基準値は、男性が50U/L以下、女性が30U/L以下とされています。
アルコールの影響を一番受けるのがγ‐GTPですが、同じく肝臓の異常を示すAST(GOT)やALT(GPT)の数値にも注意してください。
お酒が好きだと自覚している人は、毎年きちんと健康診断を受けて、自分のγ‐GTPの数値くらいは把握しておかないといけませんね。数値が高ければ、お酒を控えたり、食事量を減らしたりする必要があります。肝疾患は、初期段階であれば回復できる病気です。これを機に日々の生活習慣を見直して、早めの予防・治療を心がけましょう。自分の肝臓をフォアグラにせず、フォアグラはたまに食べるだけにしておきましょう。
(本記事はOpenDoctors[オープンドクターズ]からの提供記事です)