「好き嫌い」と「損得」の2軸で考える
――「『いつか津波が来るかも』を想定する」と書いてありましたが、こうしてコロナ危機が起こって、いつからどこに向かって動きはじめたのか教えてください。
三浦 3月まではコロナの怖さがよくわかっていませんでした。僕は3月前半に「経済を止めるな」というメッセージを出しています。しかし専門家の話を聞いて、これは社会レベルで防がないといけないんだなとわかった。それからすぐにG Oはリモートワークにして、オフィスも感染予防のコンサルティングを受けました。1週間、2週間で状況が変わるので、その度にGOの社員には方向性を共有していこうと思います。
とりあえず今は家にいるしかないんだけど、そうなってくると家にいる時間をいかに良くするかが重要になってくる。ネットを使ってこういう読書会をするのもいいでしょう。その一方で流通を担う人たちに対して差別的な態度を取る人も出てくる。家にいる時間をいかに活かすか、そしてアフターコロナの時代にどういうマナーを持つべきか。この2つをG Oとして考えていこうと思っています。
――4象限(2つの軸で4つの状況に分けて物事を判断する方法)の区切り方を教えてください。
三浦 GOとしては、「社会の変化と挑戦に貢献できるか」と「儲かるか」の2軸で考えています。例えば飯食ってても「健康にいい」と「おいしい」は違う。「豚骨ラーメンは美味しいけど、健康にはどうかな」みたいな。あるいは僕が、好きな女の子に「痩せて」と言われたらどう考えるか。もっと分かりやすくいうと「好き嫌い」と「損得」の2軸で考えるといい。
――「数字の経営ではなく、言葉の経営を」と書いてありました。数字じゃなくて言葉で伝える、というのを子どもに教えるにはどうしたらいいですか。
三浦 子どもたちに「どうなりたいのか」を丁寧に聞いていくことが大切だと思う。例えばワンピースのルフィになりたいんだったら、諦めない気持ちが大事なのか、仲間がいることが大事なのか、一人ひとりの人生の理想を聞いていく時に言葉は役に立つ。数字はその道具であって目的ではないんです。企業なら「3期連続売上倍増」だけじゃなくて、その先に何をしたいのか。社会の変化と挑戦を応援したいのか、世界の人々が安心して眠れる社会を作りたいのか、そのゴールを言葉で設計することによってより力が出せると思います。
――「企画を考える時間を予定に入れる」と書いてありますが、その時間には何をしていますか。
三浦 これね、嘘なんですよ(笑)。社員には企画を考える時間をスケジュールに入れるように言ってるんですが、僕の場合、忙しすぎてできてない。でも企画を考える時間と企画書を作る時間は別にした方がいい。一緒にするとロクなことにならないですから。