市場価値は、3つの掛け算で決まる
熊谷 自分の市場価値はどのようにはかればいいのでしょうか。
徳谷 市場価値は、「希少性」×「市場性」×「再現性」で分解されると考えます。
希少性とは、文字どおり、その人がもつスキルや専門性レアかどうかです。
市場性とは、外部から見た本当の市場価値のことです。たとえば、社内のルールに精通していたとしても、外部の一般的な会社で必要とされるスキルでないと価値はない。
再現性とは、社外に出た時に、本当に同じ仕事ができるかどうか。営業にたとえると、特定の業界の限られたエリアで人脈があるというのは、再現性が低いといえます。
一方で、対話を通して顧客のニーズをつかむスキルがあるというのなら、再現性があるといえるでしょう。
熊谷 僕は、徳谷さんがよく口にされる「クリエイティブジャンプ」(飛躍した機会を掴むという意味)という考え方が好きです。
徳谷 40~50代で市場価値が高い人は、20~30代のうちに、まったく別の領域や、困難なシーンに飛び込んでいるんですよね。それがクリエイティブジャンプです。リスクを取るなら若いに越したことはありません。一生リスクを取らずに逃げるというのもアリですけど、人生100年時代で逃げ切るのはなかなか難しいと思います。
ただし、私は捨て身でジャンプする人が偉いとは思っていないんです。
むしろ、飛んでも大丈夫なセーフティーネットをつくるとか、飛ぶ前に副業でやってみるとか、それなら100%のリスクではないじゃないですか。
小さな一歩でもいいからまず飛んでみる。それができるのも、結局は習慣だと思うんですよね。自己分析の習慣、内省の習慣、小さな挑戦の習慣、機会のつかみ方も習慣だと思います。そんなところから、少しずつ自分をアップデートしてみても決して遅くはないと思います。Afterコロナの時代、自分の人生は自分で選び、掴みとっていくものですから。
熊谷 それであれば、今すぐできますね。リモート勤務で通勤時間を自分の時間に充てることができるようになった方は、ぜひとも自己分析をやっていただきたいです。
※対談はこれで終わります