改正相続#5Illustration by Yuuki Nara

財産が少ないほどもめやすい相続。とりわけ自宅をはじめとする不動産は、その分け方が難しく、相続トラブルの温床だ。特集『改正相続、もめごと全解決!』第5回では相続の基本である遺産分割の流れと、相続財産の種類について解説する。

「週刊ダイヤモンド」2020年5月2日・9日号の第1特集を基に再編集。肩書や数値など情報は雑誌掲載時のもの。

「争族」は増加傾向
遺産分割協議がもめ事の温床

 相続はかねて「争族」とやゆされるように、財産を奪い合う骨肉の争いが古今東西、絶えた試しはない。それどころか、遺産分割を巡る調停・審判件数の推移を見れば分かるように、争族は増える傾向にある。

 そして、その争いの中心にあるのは、日本人の財産の多くを占める自宅をはじめとした不動産の分け方だ。しかも、1998年と2018年の年齢別の持ち家比率を比べれば、40~50代の相続人(財産をもらう人)世代の持ち家比率が低下した。つまり、「家」を持たない相続人による親の自宅の取り合いは、増えることはあっても減ることはなさそうだ。

 だが、なぜ法定相続人とその分割割合が決まっているにもかかわらず、もめごとに発展するのか。