空き家問題は、何も地方や郊外に限った話ではない。実際、空き家数が一番多いのは、東京都世田谷区(図参照)。その数は、5万戸を超える。都市部であっても高齢化率の高い地域や築古の建物が多い地域では、空き家問題が起きやすいのだ。

 そもそも、なぜ空き家は生じてしまうのか。理由は幾つかあるが、大きな要因となるのが「親からの相続」の問題だ。

 例えば、田舎の両親が亡くなったものの、当の子供たちは都心に別居。田舎だから家を処分することもできず、ただ放置する。実際、自宅とは別に使用目的のない空き家を所有する人は多く、その戸数は全国で70万戸に上る。

老いた家 衰えぬ街 住まいを終活する』などの著書を持つ、空き家問題の専門家である明治大学の野澤千絵教授は、「子供が実家を離れ戻らないと決めたときから、実家の空き家化はすでに始まっている」と指摘する。そのため、現在高齢者だけの世帯が住む住宅を「空き家予備軍」と捉え、空き家の発生を予防する取り組みが必要だと強調する。

 野澤教授の調べによると、こうした戸建ての空き家予備軍は全国に約720万戸あるという。地方別に空き家予備軍が多い市区町村をランキングにしたのが図だ。これを見ると、都心に比較的近いエリアが「危険エリア」に多く含まれていることが分かる。高度経済成長期に整備されたニュータウンなどが、街ごと「高齢化」しているためだ。