「アフターサービス」は2年などの期限に注意!

 家電製品や自動車のような工場での大量生産品ではリコール制度があり、不具合があればメーカーがリコールを行い、責任を持って修理を行います。

 しかし、現場での一品生産で造られる分譲マンションでは、よほどひどい(誰にでも分かる)欠陥があった場合は別ですが、売主の不動産会社が「こんな不具合があったので直します」などと申し出ることはあまり聞きません。

「有名なデベロッパー、大手のデベロッパーはそんなことないだろう」と思われるかもしれませんが、横浜の傾斜マンションとして知られる事例では、住民側が不動産会社(それも大手財閥系)と粘り強く交渉してやっと相手が責任を認めました。

 また、アフターサービスで重要なことは、消費者(購入者)の側が不具合や欠陥を指摘しなければならないということです。リコールでもきっかけは一部の消費者(購入者)の指摘であることが少なくありませんが、いったんリコールになれば広く同じ製品の購入者にも適用されます。しかし、マンションは一品生産であり、アフターサービスの適用を申し出た購入者(管理組合)しか対象にならないのです。

 さらに、アフターサービスには適用期限があります。建物の部位や設備によって異なりますが、図表17のように新築引き渡しから2年間という部位が多く、最も長い建物の構造体(鉄筋コンクリートでできた柱、梁、床スラブ、壁など)でも10年です

 こうした期間内に不具合や欠陥を指摘し、アフターサービスによって無料補修してもらうかどうかで、建物や設備の劣化具合、管理組合の資金計画、さらにはマンションの資産価値も左右されるといって過言ではないでしょう。

【マンション管理】新築マンションで第1期の役員になったら、まず何をしたらいい?
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(本原稿は、ソーシャルジャジメントシステム編、廣田晃崇著『マンション管理はこうして見直しなさい[新版]』からの抜粋です)