人間は座っている「だけ」で疲れる。
肩コリ、腰痛、首コリ、猫背、むくみの原因は「座り仕事」だった!

「ただ座っているだけなのに、なぜ疲れてしまうのか」。
その答えはシンプルで明快。
「筋肉は動かさないと硬くなる。硬くなると、血流が悪くなり、コリが生まれる」。

硬くなった筋肉を徹底的にほぐし、コリをとる。それにはストレッチしかない。
『座り仕事の疲れがぜんぶとれるコリほぐしストレッチ』の著者である、ストレッチトレーナーのなぁさんに、「座り仕事」のしつこい疲れのとり方を聞いた。連載のバックナンバーはこちらから。

座り仕事で「疲れやすい人」がやっている悪習慣Photo: Adobe Stock

座っているだけで、なぜ「疲れる」のか?

私のストレッチ専門店を訪れるみなさんは、「首」「肩」「腰」がつらいと訴えます。

 ところが、いざ私が触診してみると、自覚している「首」「肩」「腰」だけでなく、「太もも」や「ふくらはぎ」など、下半身の筋肉もカチコチに固まっているのです。

 パソコン画面を見ながら、キーボードを打つ。

 実はこれだけの動作でも、下半身の筋肉を「使って」いるのです。特に「もも裏」と「ふくらはぎ」の2つは体を固定するために、常に緊張しています。

 座り仕事で「同じ姿勢をキープ」し続けると、筋肉が固まり、血流が悪化し、コリや張りが生まれます。筋肉を動かすから疲れるのではなく、「動かさないから疲れる」のです。ここが大きなポイントです。次のイラストを見てください。

座り仕事で「疲れやすい人」がやっている悪習慣

 筋肉には「硬くなると、まわりの骨や筋肉を引っ張り込む」性質があります。下半身、特に太ももの筋肉は硬くなると、骨盤を強く引っ張り込むようになります。

 すると骨盤の位置がずれ、骨格がゆがんでしまい、猫背や巻き肩(肩関節が前にずれ、体の内側に入り込んでいる状態)になります。

 背中が丸まり、肩が前に出ると、首・肩・背中の筋肉に余計な負担がかかり、「疲れる」ようになります。これが、「座っているだけ」で首コリ・肩コリ・腰痛になるメカニズムです。

 恐ろしいのは、骨格がゆがみ、猫背や巻き肩が慢性化すると、そのゆがんだ姿勢が「一番ラクな姿勢」になること。本人はラクなつもりでも、首・肩・背中はどんどん疲れてしまうのです。

「疲れ」を根本改善するストレッチ

 すべての原因は、筋肉が硬くなることにあります。ならば、硬くなった筋肉をほぐし、元に戻すストレッチをすればいい。

 筋肉をゆっくり伸ばすことで、血流がよくなり、酸素が体中をめぐります。すると老廃物が流れ、筋肉のこわばりも解きほぐされていきます。柔らかくほぐれた筋肉なら、新鮮な血液が常に全身をめぐるようになり、老廃物のたまりにくい「疲れにくい体」になるのです。