その後、日清カップヌードルのCMに新垣隆さんらとともに起用されるも、「危機管理の権威 心理学部 矢口真里 准教授」という自虐ネタに批判が殺到し、CMは1週間で放送中止に追い込まれた。

「ほら見ろ、会見をしないからだ!」と勝ち誇る人もいるかもしれないが、では矢口さんが速やかに謝罪会見を開いていたところで、事態が好転していたかというとビミョーだ。クローゼット不倫をすべて赤裸々に語っても、ダーティイメージに拍車がかかって、マスコミとSNSのリンチが激しくなるだけだ。かといって、そこで下手に言い繕っても、その嘘がバレたらもっと被害は深刻だ。場合によっては、活動自粛が長引いたかもしれない。

会見を開くか開かないかで
「傷の深さ」はどれくらい違うのか

 なぜそんなことがいえるのかというと、ベッキーさんの例もあるからだ。

 ご存じのようにベッキーさんは、「文春砲」で「ゲス不倫」がスッパ抜かれる前は、元気印の優等生キャラで売っていた。そのため、突然の不倫スキャンダルに対しても、清楚なブラウス姿でしおらしく頭を下げた。

 が、その会見が「質問禁止」で一方的な主張をするだけの場だったというヒンシュクものの対応に加えて、「文春砲」によって「友達で押し通す予定(笑)」というLINEが晒され、裏の顔が暴かれてしまったのだ。当時、筆者も幾度となく指摘したが、あのような嘘だらけの会見だったら「やらない方がマシ」なのだ。

 その後、ベッキーさんに対してどのようなバッシングがあったかは、説明の必要もないだろう。パートナーを裏切っていた矢口さんと違って、「不倫相手」側ということもあってか、ベッキーさんは105日と矢口さんよりも早く芸能界に復帰した。しかし、今でもなお一定の人々はベッキーさんがCMやテレビに出演すると、「不快」「消えてほしい」などと執拗に叩いている。

 会見しないで逃げ続けたと叩かれた矢口さんも、会見を開いたものの苦しい言い逃れをして炎上したベッキーさんも、似たり寄ったりというか、傷の深さにはそれほど大差がないのである。