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「人生を変えるのに、最も効果的なライフハックとは何だろう?」と、デイヴ・アスプリー氏はこれまで20年近くかけて、シリコンバレーの最新のラボからチベットの修道院まで、世界中のあらゆる場所に足を運んで、体当たりの自己実験で研究してきた。
さらに、脳科学、生理学、東洋哲学、心理学といった分野の専門家の他、アスリート、医師、ライフハックの達人まで、400人以上の研究者や成功者たちに、「最も重要な3つのことをあげてほしい」と取材を重ねてきた。
そんな探求の果てにつかんだ答えを「脳」「休息」「快楽」「睡眠」「運動」「食事」「幸福」「人間関係」等の分野に体系化、1冊の「究極のハック集」にまとめたのが『シリコンバレー式超ライフハック』(デイヴ・アスプリー著、栗原百代訳)だ。
著者自身、「20年前にこの本に載っていることを知っていたら、どんなに人生が違っていただろう」という衝撃的なハックが目白押しの本書から、一部を特別に公開する。

「幸せ」になれば能力を発揮できる

 幸せな人は、いま取り組んでいることに熱中していて、生産的で、うまくやってのける。あなたを幸せにしてくれることに集中しよう。幸せになれば、すべてにおいて高いレベルの能力を発揮できる。幸せであれば、状況を変えることも、周囲の環境や人間関係を変えることも、はるかに容易になる。世界を変えることさえ不可能ではなくなる。

幸福な人は生産性が「31%」高い

 幸せな人は幸せでない人よりも成功している。言いすぎだと思うかもしれないが、そんなことはない。数字で言うと、幸せな人はそうでない人よりも生産性が平均で31%高く、売上が37%大きく、創造性が3倍高い。研究者は、この違いはポジティブ思考のパワーから生まれると考えている。幸せな人は「やればできる」とポジティブに考える。そして、その考え方が成功の可能性を高めるのだ(*1)

 幸福は、個人に成功をもたらすだけではない。幸福な人は会社にも経済的利益をもたらす。ギャラップ・ヘルスウェイズの調査では、生活の満足度が低い従業員は、幸せな従業員よりも1ヵ月当たり平均1.25日多く仕事を休んでいる。年換算すれば会社経営にとっては15日もの損失となる(*2)

幸福はビジョン実現のスピードを速める

 おそらく、ヴィシェン・ラキアニ以上に幸福と生産性の関係を深く理解している人はいない。彼の会社マインドバレーは、「働きがいのある会社」ランキングで世界最高レベルの職場だと認定されている。

 ヴィシェンは、幸福はビジョン実現のスピードを速めてくれる燃料だと言う。たいていの人がその燃料を使えないのは、ビジョンが達成されたら幸福になれると考えているからだ。ビジョンと幸福を切り離せていないからストレスを抱え、不幸だと感じるのだ。つまり、目的地に着くまで幸福になれないと考えていることが間違いなのだ。

 禅僧のゲンポ老師の言葉を借りれば、求めても得られない幸福を追い求めている、ということだ。だが、旅の途中で幸せを見つけられると気づけば、すべてが変わる。

お金ではなく「お金ですること」を目標にする

 また、ヴィシェンは、目標には「手段としての目標」と「最終目標」の2種類があると言う。

 たとえば、学位を取得したい、職を得たい、結婚したい、100万ドル欲しいというのは「手段としての目標」だ。これで幸せになれないのは、どれも別の何かを得るための手段だからである。たとえば、学位を取得したいのは、良い仕事に就いてお金を稼ぐためだ。100万ドル欲しいのは、だれもが一目置くミリオネアになるためだ。結婚したいのは、孤独や不安を払拭してパートナーとのつながりや支えを得たいからだ。

 これに対して、「最終目標」は、手段としての目標によって獲得したい「別の何か」だ。それは感情に重きを置いたものであることが多い。たとえば、世界を旅したい、愛する人の隣で目覚めたい、子育ての喜びを経験したいといったものが該当する。

 ヴィシェンが会社をつくったときには、「チームとしてどう機能するか学ぶために会社を設立し、自分のリーダーシップ能力を高め、他にはないユニークな会社をつくるわくわく感を味わいたい」という最終目標を立てていた。そこにフォーカスしつづけたことが、ヴィシェンと彼のチームに真の幸福をもたらしたのである。

「最終目標」にフォーカスする

 最終目標は3つに分類できる、とヴィシェンは言う。(1)経験したいこと、(2)人間として成長したいこと、(3)世界に貢献したいこと(あるいは自分の足跡を残したいこと)──の3つだ。

 目標を設定するときは、この最終目標の3分類を念頭に置いて、時間をかけて検討することが重要である。

 そうすれば100万ドル稼ぐといった目標は考えられなくなる。最終目標に集中していれば、成功に必要な創造的アウトプットが生まれ、どのみち入ってくるお金だ。

 最終目標という視点で計画を立てるなら、ミリオネアの多くが陥っている罠を避けられる。お金は銀行にうなるほどあるのに、人生に嫌気がさしているという落とし穴だ。そんな罠にはまっている人は、手段としての目標に傾注して、最終目標を犠牲にするという過ちを犯している。

(本原稿は、『シリコンバレー式超ライフハック』〈デイヴ・アスプリー著、栗原百代訳〉からの抜粋です)