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好き嫌いに理由などないと思いがちだが、実は、感覚的に思えるようなものにも、きちんと理由なり、思考の経路がある。普段意識していない部分まできちんと整理し、言語化できるかどうかが、コミュニケーションの重要なポイントとなる。そして、頭の中を可視化するのにもってこいなのが「図解化」である。
米国の大学やハーバード・ビジネス・スクールで学び、総合商社で丁々発止のビジネスを行ってきた経験を踏まえて、現在、日本人の英語力向上とグローバル・リーダーの育成に携わる著者が、最新作『グローバル・モード』から抜粋してそのコツを紹介する。

感覚的に思えるものにも、理由や思考の経路がある

 アメリカに留学して初めてのパーティでのこと。隣の人から「なぜ踊らないのか」と聞かれ、「ダンスは嫌いだから」と答えました。

 驚いたのは、「なぜダンスは嫌いなのか?」と突っ込まれたこと。こちらが「嫌い」と言ったものに理由を求められるなんて、日本ではありえないことだと思ったからです。

 好き嫌いに理由などないと思ったのですが、しいて言うなら「踊るのは恥ずかしいから」でした。すると、「なぜ踊るのが恥ずかしいのか?」と聞いてきます。

 恥ずかしいのは恥ずかしいだろ、と思いつつ、「下手だから」と答えると、今度は「なぜ下手か?」と追及の手は緩みません。

 とうとう、「経験も少ないし、第一やり方がわからない」と言うと、ようやく相手はニコっと笑い、「なら、教えてあげる」とダンスフロアに連れ出されたのです。

 感覚的に思えるものにでも、何らかの理由や思考の経路がある。これまで意識していなかった部分まで頭の中の考えをきちんと整理し、言語化できるかどうかが、低文脈社会で必要なことなのだと痛感した出来事でした。

 いくら英語がうまくても、頭の中が整理されていなければ考えを伝えることはできません。そして、頭の中を整理し、可視化するのにもってこいなのが「図解化」です。そのために本書『グローバル・モード』では、いくつか思考ツールを紹介しています。

 ホワイトボードを使うのも1つの手です。ホワイトボードは参加者全員の思考を可視化していくのに便利ですが、本書で紹介する図解化の手法は、個人の訓練にも使えます。

 アナログですが、紙とペン(消せるもの)を用意し、慣れるまで何度も描いてみるのもおススメです。実際に手を動かしていると、紙の上にいろいろなことが現れてきます。

 自分が何を考えているのか、どういう関係性を発見していたのか、何を見落としていたのか……。頭の中に漂っていた思考が、みるみる一目瞭然になっていくのが不思議な魅力です。

 多少英語が苦手でも、図解化ができれば何とでもなります

 有名な戦略コンサルティングファームの名前が冠されている本や、あるいは、MBA○○のようなタイトルで入門書もたくさん出ていますが、まずは本書で取り上げた図解術にトライしてみてください。これはもちろん、普段の日本のビジネスでも非常に役に立ちます。