金銭的モチベーションというよりは、
自分たちもコミットするから本国もしてくれという感じ(平田)
Repro株式会社 代表取締役
1980年東京都生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。大手コンサルティングファーム(現、PwCコンサルティング)戦略グループにて、主にターンアラウンド戦略の立案や新規事業開発の支援プロジェクトに従事。2011年から複数事業の立ち上げに関与したのち、2014年にReproを創業、現在に至る。
平田 今、シンガポール、インドネシア、タイ、ベトナムに、もう幹部マネジャー候補は張りついているんですけれども、彼らからは、「お前たちは撤退しないよね?」っていうコミュニケーションがすごく多かったですね。疑心暗鬼というか。もともと外資の似たようなマーケティング関係ツールのセールスとかマーケをやっている人たちをヘッドハンティングしてきているケースが多かったので…。彼らの頭の中には、短期的に撤退したりとか、アジアの事情を鑑みない開発が進んだり、みたいなところので結構、悪い印象が残っている人たちなので。
田所 そうなのですか。
平田 それで、先月彼ら全員を日本に出張させて、直接話そう、みたいな感じでミーティングをやりまして、そこら辺のことを話し合いました。だから、結構金銭的なモチベーションで働いているというよりは、「自分たちもコミットするから本社もコミットしてくれ」みたいな感じがすごく多かったですね。今は、まだ20人ぐらいですが、今後、もうちょっと海外事業がスケールしたときには、グローバル全体の従業員エンゲージメントに関する仕組みも必要になると思っているので、十河さんにはそのあたりすごく勉強させてもらっています。
十河 正直、アジアではお金だけで引っ張るのはしんどいですね。結局、気づいたんですけど、うまくいけばいくほど、人材が引き抜かれるんですよ。うちとかでよくあるのは、グローバル大企業などからの引き抜きですね。
平田 逆に、ヘッドハンティングされるっていうことですか?
十河 目立てば目立つほど、ヘッドハンティングされるんですよね。タイとかベトナムとかインドネシアでいうと、すごい成長してて、目をつけられることもあります。そうすると、めちゃくちゃヘッドハンティングされるんですよ。だから、お金だけだと難しいなっていうのはあって。
平田 仕組みを入れながら。
十河 そう。もう明日もっと稼ごうと思ったら稼げる力のある人たちは、増えているので、お金だけで繋ぎ止めるのはなかなか難しい。あとはどれだけ当事者というか、ロイヤリティをどれだけつけてもらえるか。僕らは常に社員に対してすごいオープンなんですよ。包み隠さず伝えていて、僕らの感じる課題とかも共有しながら、彼らにも同じ課題認識を持ってもらって、一緒に解決していこうよ、と。オープンにするっていうことは、良いところも見せるし、悪いところも見せるということ。それをうまくチームリーディングしつつ、メンバーたちにも感じてもらって、「チームで頑張っていこうよ」っていう日本的な良さも活かして各国でやっていますね。
田所 ターンオーバー(退職率)は、じゃあ、他のスタートアップより低めですか?
十河 日本と比べると、たぶん高いと思うんですよ。ただ、最近やっぱり安定的に伸びている国に関しては、ターンオーバーは低くなってきていて、要はリテンションするようになってきたと。東南アジアの人材マーケットだと高い場合は、40%とか50%とか毎年人材が入れ替わってる会社も多いので、そこと比べると適切な水準で維持出来ていると思います。
田所 退職理由でいちばん多いのは、やっぱり引き抜きなんですか?
十河 そうですね。オファーをもらっているというケースです。
平田 そのときに、「でも、もうちょっとこっちの会社で働きたいから」っていって、給料交渉をガンガンかましてくるんですか。
十河 ありますよ。「行きたくないんだけど、オファーをもらってるから」みたいなのは来ますよね。「オファーもらってるんで。好きだし残りたいんだけど、オファーが」みたいな。
平田 それは残すべきやつなのかどうなのか、みたいなところを判断したうえで、「エビデンス持ってこい」みたいな感じですか?
十河 場合によっては、ちゃんと上げます。