公式戦を安心・安全に開催していくための最大かつ唯一の担保として、JリーグはJ3までを含めた全56クラブの選手やスタッフ、審判団など関係者を対象にした大規模な公式PCR検査の実施を決定。6月18日および19日を皮切りに、2週間に1度の頻度で、年末まで14回を予定していた。

 グランパスで陽性が確認された3人は、17日に実施された第3回公式PCR検査を受けている。Jリーグは24日に第3回検査の結果として、3299件を数えた検査件数の全員が陰性だったと発表している。直後にグランパスが独自で行ったPCR検査で、3人の感染が相次いで判明した。

 時系列に沿って考えれば、3人は18日以降に感染したことになる。いずれもトレーニング以外の時間を基本的に宮原は自宅で、渡邉は選手寮で過ごし、外出も必要な買い物など最低限にとどめていた。

 「厳格な行動管理をしていても、何かしらのルートで感染してしまった。クラブに大きな瑕疵(かし)があったわけでも、ましてや本人に責任があるわけでもないと認識しています」

 オンライン会見で村井チェアマンはこう語ってもいる。グランパスおよび感染した選手が批判される事態を避けたい思いもあったのだろうが、一方でJリーグによる公式検査で今回の感染を確認できなかった事実を受けて、現状の新型コロナウイルス対策を修正または変更する可能性も示唆した。

 「ガイドラインの修正なり判断を、もう少し丁寧に細かく詰めていく必要性を認識しています。ベースは2週間に1度の公式検査の運用ですが、チーム内に陽性者が出た場合の影響を考慮して、例えば週1回の検査を一定期間行っていくことや、抗原検査など別の検査手法と組み合わせていくことなどを、専門家の意見を聞きながら考えていきたい」

リーグ全体へ広がる危機感

 しかし、突然のリーグ戦中止がもたらした余波は、第2波の襲来が指摘されている新型コロナウイルスの感染再拡大に対して、公式検査体制が追いつかない盲点をあぶり出しただけにとどまらない。

 中止から一夜明けた27日の午前中には日本野球機構と共同で設立した新型コロナウイルス対策連絡会議、午後にはJクラブの代表取締役や理事長らで構成される実行委員会が開催された。そして後者においてグランパスの次節の対戦相手、柏レイソルからリーグ戦の開催延期が申し入れられている。

 レイソルは再開へ向けた準備期間で、感染予防対策の一環として他のクラブとの練習試合を一度も組まなかった。ブラジル人のネルシーニョ監督が70歳と高齢な点を含めて、豊田スタジアムに乗り込む8月1日の第8節へ慎重な姿勢を見せるのではないのか、という懸念が指摘されていた。

「柏レイソルに限らず、全てのクラブが感染への不安を感じ、感染が拡大しないように努力しています。今まで通りにしっかりと行動を管理し、濃厚接触の定義を確認し、PCR検査の結果を踏まえた上で、十分な対処をしながら臨んでいきたい」

 オンライン会見でこう語っていた村井チェアマンは、実行委員会の席上でもこうした考えを踏襲しながら、延期は考えていない旨を説明している。グランパスもさらに100人へ対象を広げた大規模なPCR検査を27日に独自で実施し、予定通りの開催へ向けた安心・安全の担保に努めた。

 しかし、PCR検査の結果、選手やトップチームのスタッフらは陰性だったものの、選手寮運営業務委託先企業に所属する調理業務スタッフから陽性反応が検出された。保健所による調査でクラブ内に濃厚接触者がいないことと、先の3人と同じく感染ルートが不明なことが確認された。