実は意外と地味?
「外交官の仕事」とは

秋山進あきやま・すすむ/プリンシプル・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役

秋山 まずお聞きしたいのは、「外交官とは普段どんな仕事をしているのか」ということです。ドラマや映画で見たことのある、華やかなパーティーに出席して、各国の要人とグラスを傾けている……そんな姿をイメージしてしまうのですが、もちろんそれはごく一部ですよね。

片山 みなさんが想像される以上に、地味なデスクワークも多いです。国外の在外公館には3種類あり、国の首都にある大使館、主要国の重要都市にある総領事館、国連本部のあるNYなど国際機関の本部がある都市に置かれる政府代表部に分かれています。外務省職員のうち約3500人が海外で働き、約2500人が国内で働いています。

 大使館などでの主な業務としては、ビザの発給、パスポートをなくした人に対する対応、事故、盗難、けが、病気、死亡、出生、事件に巻き込まれた人の対応など、邦人保護がまず筆頭の業務です。

 また、個人だけでなく、現地に進出している日本企業の支援も重要な業務です。もちろん、その国の情報収集は常に行いますし、その国の文化の日本への紹介、あるいはその国への日本文化の紹介も行います。捕鯨、死刑制度、領土問題など日本政府のスタンスなどにつき広報や政策への理解を求める努力をすることも重要です。

 国内の外務省本省では他の省庁と同様、国会答弁の作成、議員レク、予算要求などもあります。

秋山 実務だけでも超多忙ですね。そして「外交」もされる。

片山 外交というのは、要人の公式の相互訪問や会談もありますが、実は普段からのちょっとした接触や情報交換で、さまざまな人と信頼関係を築いておくことが外交官として大切です。つまり、何かあったときに、情報をくれるような信頼できる人を確保しておくということです。

 たとえば、緊急を要するとき、「日本政府の対応を決める際の参考に、24時間以内にどこどこの国の反応を探ってくれ」と本省から訓令が在外公館に発せられることもあります。こうした期限を切られた上での情報収集では、相手国政府担当者のオフィスの電話番号に電話しても、真夜中や早朝には誰も応答してはくれません。ですから、そのようなときに携帯電話等で連絡して情報を入手できる人との関係を日頃から作っておくことが重要なのです。

秋山 そうしたキーパーソンたちをどうやって見つけるのですか。