なぜ、日本ではなかなかユニコーン企業が出ないのか?

 なぜ、日本ではユニコーン企業がなかなか出てこないのか? この疑問こそが、私が日本のスタートアップを支援しようと思った大きな原動力だ。

 結論から先に言えば、0から1を作る「起業家」は増えた。しかし、1を100にする(事業を成長軌道に乗せ大きくする)「事業家」が日本には圧倒的に少ないということが言える(下図)。

起業家から事業家へと自らを進化させなければ、さらにスケールすることはできない

 アメリカは一度売却や上場を果たした起業家がシリアルアントレプレナーとしてもう一度起業するケースが多い。つまり、「ドラゴンクエストのようなロールプレイングゲーム」に起業をたとえると、一回クリアした人たちがたくさんいる。その人たちは、起業してからスケールしてEXIT(IPOもしくは事業売却)するまでの「攻略本」を持ってプレイをしているようなものだ。

 日本だと典型的な例はメルカリだろう。創業メンバーである山田進太郎氏は、ウノウをZynga(ジンガ)に売却する経験を持ち、取締役会長の小泉文明氏は、ミクシィのCFOとして、上場企業の経営を経験している。

 この「一回ドラクエをクリアした感の経験」がメルカリの別格の成長を支えたと言える。

 会社を売却して新たにスタートアップを始める「2周目」「3周目」の起業家も徐々には増えてきたが、まだその数は圧倒的に少ない。