なんちゃって働き方改革

 テレワークが普及し、これまでのように会社にいる時間を基準にしてビジネスを推進していくことがますます難しくなった。テレワークでは「これ、前と同じように適当にやっておいて」ではなく、厳密で具体的な仕事の指示が出せる専門性を持った管理職が必要だが、そういう人材はあまりいないことが明白になっている。

 それもあって、今話題のジョブ型雇用を導入し、人事のあり方も変えようとしている。しかし、グローバル企業で全世界の人事制度を一本化させるメリットがある超大企業を除いて、多くの企業ではジョブ型に変えたところですぐに目に見える成果が出るわけではない。

 さらには、DXで業務自体が大変化する前段階である今の状態で、ジョブディスクリプション(ある業務について、業務範囲や必要なスキルを規定したもの)を作っても、そのかなりの部分が数年後には不要となり、莫大な費用をかけたジョブディスクリプション作成自体が徒労に終わる可能性が高い。とはいえ、副業も認めることになり、テレワークを継続するところも多いので、少しずつ仕事の範囲を明確に定義して割り当てるといった流れになり始めてはいる。

なんちゃってオープンイノベーション

 オープンイノベーションはこれまでなかったような組み合わせで、革新的な事業が生まれるという希望を抱かせる。革新的なアイデアはあるがお金とリソースのないベンチャー(今ならスタートアップというべきか)企業と、お金やネットワークはあるが知恵が出にくい大企業の間をうまくつなげば、成功事例が出てくる可能性はあるが、社会がガラッと変わるような夢のような成果が即座に生まれることはほぼないといっていいだろう。はやっているからファッションとしてやっているだけのところも多い。

 問題は、大きな成果が出なくてもやめずにやり続けられるかどうかである。期待値を高くしすぎなければ、新たな価値が生まれる胎動のようなものは見られる。

なんちゃって若手抜擢

 DXの時代だから「デジタルネイティブに任せるしかない」「グループ初の若手社長を誕生させました」といったニュースを見ることがある。なんのことはない、社長といっても本社からの出向で、本社の認識としては部長レベルのポジションだが、対外的には社長としておくことで世間の歓心を買いたいという下心見え見えの若手の抜擢がある。会社全体の中での位置づけでいえば、なんちゃって登用ではあるものの、それでも変わろうとしているポジティブなメッセージを伝える一定の役割は果たしているのかもしれない。