銀行や出資者など、お金を出してくれた人たちに
一連の活動を報告するのが会計の役割

先生、そもそも会計ってなんですか?<br />なんのためにあるのですか?林 總(はやし・あつむ)
公認会計士、税理士
明治大学専門職大学院 会計専門職研究科 特任教授
LEC会計大学院 客員教授
1974年中央大学商学部会計学科卒。同年公認会計士二次試験合格。外資系会計事務所、大手監査法人を経て1987年独立。以後、30年以上にわたり、国内外200社以上の企業に対して、管理会計システムの設計導入コンサルティング等を実施。2006年、LEC会計大学院 教授。2015年明治大学専門職大学院 会計専門職研究科 特任教授に就任。著書に、『餃子屋と高級フレンチでは、どちらが儲かるか?』『美容院と1000円カットでは、どちらが儲かるか?』『コハダは大トロより、なぜ儲かるのか?』『新版わかる! 管理会計』(以上、ダイヤモンド社)、『ドラッカーと会計の話をしよう』(KADOKAWA/中経出版)、『ドラッカーと生産性の話をしよう』(KADOKAWA)、『正しい家計管理』(WAVE出版)などがある。

カノン お金の収支だけを記録する単式簿記ではないんですよね。

林教授 その通り。複式簿記はお金の収支だけでなく、借入金や商品などの増減も同時に管理できるんだ。

カノン わかりました。

林教授 さらに複式簿記ではその成果として、どれだけの利益が出たかがわかる。例えば、100万デュカットで買ったヴェネチアグラスを200万デュカットで売ったとかね。

カノン それなら、単式簿記でも分かりますよね。

林教授 お金の収支だけはね。でも、商品である100万デュカットのグラスが減って、代わりにお金が200万デュカット入金したことは、帳簿には載らない。

カノン そうか。複式簿記ではお金以外の動きも帳簿に書き入れるんだ。

林教授 そういうことだ。そして、最後に銀行や出資者などお金を出してくれた人たちに一連の活動を報告する。嘘や偽りのないことを証明するためにね。これが会計なんだ。英語ではアカウンティングという。

カノン そうか、だからアカウンタビリティを説明責任と訳すんですね。

林教授 文学部卒はダテではなかったようだね。

カノン 英語は得意科目ですから。ところで会計と複式簿記は同じような意味ですか?

林教授 まあ、そう考えていいだろう。

カノン 複式簿記がちょっとだけわかったみたいです。

林教授 それは嬉しいね。