「マクロ」より「ミクロ」、「理念」よりも「実務」
個別案件を最重視
官房長官時代の菅首相に仕えた霞が関の住人は、かつてのボスを「『マクロ』より『ミクロ』の視点で動き、『理念』よりも『実務』の思考回路を持った政治家」と評する。具体的な個別案件を最も重視して、その課題の根底に「官」の問題があるとみるや、規制改革や法改正、手続きや意思決定プロセスの改善にちゅうちょなく乗り出すという。
また、菅首相を知る大手企業幹部は「企業、産業の“新陳代謝”に基づく成長戦略を何よりも重視している」と指摘。つまり、再編淘汰をよしとするスガノミクスは、既得権を持った企業にとっては致命傷になりかねず、新規参入を狙う企業にとっては千載一遇の好機となるかもしれないのだ。
となると、業界構造が激変する可能性もある。実際、菅首相の「経済ブレーン」と目される人物の中には、産業の新陳代謝を求める構造改革派が目立つ。
例えば、金丸恭文・フューチャー会長兼社長、北尾吉孝・SBIホールディングス社長、竹中平蔵・慶応大学名誉教授、デービッド・アトキンソン・小西美術工藝社社長、新浪剛史・サントリーホールディングス社長といった面々だ。