生き残りに残された道は再編のみ?
みちのく銀の置かれた厳しすぎる現実
背景にあるのは、みちのく銀の置かれた厳しい環境だ。
同行が地盤とする青森県は、2040年までの人口減少率が秋田県に続いてワースト2位の26.5%減。少子高齢化は全国トップクラスのスピードで進む。
2018年に金融庁が発表した「地域金融の課題と競争のあり方」で示された、都道府県ごとの存続可能な地銀数では、青森県は県内1番行のシェアが100%になっても、不採算になると判定されている。現在、青森銀とみちのく銀の2行があるが、仮に両行が統合し1行になっても、生き残ることはできないということだ。
それにみちのく銀は20年3月期に46億円の連結純損失に転落し、上場地銀ワースト1位。自己資本比率(単体)も同7.4%まで落ち込み、こちらはワースト2位となっている。21年3月期中間決算では10億円の連結純利益を計上したが、コロナ禍第3波もあり、まだまだ安心できる状況ではない。
そんな危機的状況から脱するべく、同行は青森銀との包括的連携を検討している。今年9月に同行との経営統合について観測報道があったが、これは経営統合しかみちのく銀が生き残る道はないという、地銀と地元経済界の一致した見方でもある。
東北地方の地銀幹部は「青森銀との経営統合を前に、少しでもシェア拡大と存在感を示したいのだろう」と話す。みちのく銀は公的資金注入先であり、青森銀と経営統合した場合は青森銀主導で経営再建が行われる可能性が高いからだ。
北東北で加熱する金利戦争は、再編の渦に巻き込まれるみちのく銀の断末魔の叫びなのかもしれない。
(ダイヤモンド編集部 片田江康男)