自分でデータに当たって、
世界的・歴史的に広く深い視野を持つ

――コロナ下で我々ができること、心がけるべきことは何でしょうか。

奥野 やはり大事なのは感染しないことですよね。年齢別の死亡率のデータなどから、自分にとっての危険性を冷静に捉える必要はあると思いますが、感染しないに越したことはないと思います。そして感染したことに対してあまり大騒ぎしないことが大事だと思います。「あの人はコロナになったらしい」とか、陰で色々と非難するのは絶対やめた方がいいです。それこそが「人の暗いところに巣食っている」ウイルスですよね。「人を叩きたい」という感情から派生するウイルスは一気にバーッと沸き起こりやすいのでとても危険です。

本質的には「同調圧力」にも近い、人の宿痾(しゅくあ)だと思います。ちょっとしたコンプレックスに起因することも多いかもしれませんがそれが、コロナ禍でも起こるし、芸能人のスキャンダルからでも起こる。そして、それがSNSで増幅される。昔はテレビだけがやっていたことが、今となっては個人が「いいね!」欲しさにどんどんSNSで発信できる世の中になって、増幅されている状態です。今までの「マスコミの弊害」というのが、掛け算として増大していると考えています。

――それこそウイルスですね。

奥野 こういう状況で一番大事なのは、「自分でデータに当たる」ということだと思うんですね。自分でデータに当たって、世界的な視野であるとか、もっと歴史的な視野で、空間的にも広く、時間的にも深く、その事実が一体そのような意味を持っているのかどうかを自分の頭で考える。100年前のスペイン風邪と比べて、今のコロナ禍の状況が一体どういうことなのかということを考えれば、おのずと自分がどのように振る舞わないといけないかというのは分かるはずです。それを自分で調べないで誰かに聞こうとするから、SNSやマスコミの発信に影響されたりするわけです。コロナ禍で我々が一番心がけなくてはいけないことは、「人に惑わされない」ということだと思います。つまり「自分の価値観をしっかり持ちましょう」ということです。

コロナでピンチにある企業がすべきこと
奥野一成(おくの・かずしげ)
農林中金バリューインベストメンツ株式会社 常務取締役兼最高投資責任者(CIO)
京都大学法学部卒、ロンドンビジネススクール・ファイナンス学修士(Master in Finance)修了。1992年日本長期信用銀行入行。長銀証券、UBS証券を経て2003年に農林中央金庫入庫。2007年より「長期厳選投資ファンド」の運用を始める。2014年から現職。日本における長期厳選投資のパイオニアであり、バフェット流の投資を行う数少ないファンドマネージャー。機関投資家向け投資において実績を積んだその運用哲学と手法をもとに個人向けにも「おおぶね」ファンドシリーズを展開している。著書に『ビジネスエリートになるための 教養としての投資』(ダイヤモンド社)など。

参考記事
コロナ危機でファンドマネージャーはどう動いたのか