「嫌なもの嫌」「ダメなものはダメ」と言い切る!
――ビル・ゲイツの「人を見るときの厳しさ」を伺ってきたんですが、西さん自身は「人を見るとき」のポイントのようなものは何かあるんですか?
僕は何もないです。
――何もないんですか?
だって、人を見て、評価したり、選ぶようなことをしていたら、ギクシャクするじゃないですか。だから、僕は会社の採用面接とか、そういうことにもほとんど立ち会わなかったんです。
縁があって、会社に入ってきてもらったり、仕事で付き合うようになったら、それはもう、僕がどうこう判断する以前に、そういうふうに決まっているんだと思っていました。
この人は「信用できる、信用できない」というところをあんまり厳しくやっちゃうと、付き合いが狭まっちゃうから、そういうことはできるだけしないようにはしていました。
――そのなかでも、西さんから見て「この人とのビジネスはうまくいきそうだ」とか、「あんまりよくない」という感覚のようなものはあるんですか?
「この人と一緒にやったら、関係がうまくいきそうだ」とか、そういうところはわかります。そういうのって、すぐにわかるじゃないですか。「黒いもの」「悪いもの」を背負ってる人っていうのは、すぐにわかります。
――「黒いもの」「悪いもの」を感じるときって、よくあるんですか?
そりゃあ、ときどきはあります。たとえば、僕はマスコミとか、メディアにもよく呼ばれるんですけど、悪意のある見出しを立てて「おもしろがってやろう!」っていう雰囲気の取材とか、テレビの番組ってときどきありますからね。
――そういう「悪意」とか「黒いもの」を感じたときはどうするんですか?
それはもう席を立って、帰ります。
――番組に出ないで、帰っちゃうんですか?
そうです。そんな悪意に満ちて、人を笑い者にしようとするなんて、失礼な話じゃないですか。「嫌なものは嫌」「ダメなものはダメ」。『半沢直樹』の大和田常務風に言えば「死んでも嫌だね!」ってところです。そういう価値観や行動は昔から変わってないです。
以前、あるテレビ局の有名な番組に呼ばれたんですけど、出演料の問題で揉めたことがあるんです。最初に、金額交渉をしておかなかったこっちも悪いんですけど、僕は単純に「○○円以下なら、出ません」ということをお伝えしたんです。
そしたら番組のプロデューサーがやってきて、「そんなこと言ったら、二度のウチの局には出られなくなりますよ」って脅すんですよ。
テレビ局は他にいくらでもあるし、そもそも僕は、テレビに出るのが仕事の芸人さんとは違いますからね。その番組がどれほど視聴率を取ってるか知らないけど、僕にはそんなの関係ないんです。
向こうが僕に「出てほしい」と言って、僕は「○○円以下なら、出ません」って言っているだけなんですけど、そういうときに相手の人としての本質が見えることがあります。
――え、それで出演を断ったんですか?
もちろん。そうしたら、「出てくれ、払うから」だって。