言い過ぎてしまったら、
子どもに謝ればいい
――「叱る」は子どもの幸せを願って言うこと。「怒る」は大人の一方的な都合で言うこと。その違いがわかっていない親御さんも多いと、本でも伝えていますね。
てぃ先生 僕は、怒ることがあってもいいと思うんです。だってママもパパも人間だから、感情的になっちゃうこともありますよね。もし怒ってしまったら、そのあとフォローすればいいだけの話です。
フォローといっても特別なことは必要なくて、「言い過ぎちゃってごめんね」って謝ればいいんです。
僕はつねづね、子どもに謝らない大人が多いことが気になっています。相手が大人だったら、悪いことをしたとき「すみません」って謝りますよね。遅刻したら「申し訳ありません」って言うじゃないですか。でも子どもが相手だと、どんなに待たせても、約束を破っても、謝らない大人が多い気がします。
子どもは、親とは違う人格を持った“他人”なんです。でも、たまたま血縁があるだけで、自分の分身だと勘違いしている親御さんの多いこと。親であっても、間違ったことをしたときや、怒って言い過ぎたときは、子どもにもちゃんと謝るのが礼儀だと思ってもらいたいです。もしどうしてもそれができなければ、とにかく抱きしめてあげてください。そうすると心の距離が近づきますよ。
――私は以前、子育てコーチングの資格をとったのですが、そのとき一緒だった受講生に、「怒りをコントロールするのがいちばん難しい」と悩んでいるママが何人かいました。「子どもとのスキンシップがちょっと苦手」という方もいたのですが、そういう場合はどうすればいいでしょうか?
てぃ先生 子どもを抱きしめられない親御さんは、逆に距離をとったほうがいいです。別の部屋に行くとか、子どもからちょっと離れて別のことをして、物理的な距離をとるとだんだん怒りが収まってきます。人間の怒りは「最大6秒」と言われているので、離れられないときでも6秒だけぐっとこらえて我慢してみてください。
勉強しない子どもを怒ってばかりの親が、ベランダに宿題も筆記用具も放り投げて、ベランダで子どもに勉強をやらせているのを見たという話を聞いたことがあります。これも完全に、教育虐待と言わざるを得ない状況です。本当はそういう親は、子どもが部屋で宿題を終わらせるまで、自分がベランダに出て待つほうがいいんですよ。そうしたら、物理的な距離は同じでも、「子どもにひどいことをしている」という親の罪悪感はなくなると思います。