2年目の社員は、
仮説→実験→検証が仕事

土屋:社員もデータで相関関係や異変に気づき、解決の仮説をA案、B案の2つ考えて検証し、検証データのよかったほうを解決策として実行します。

その効果を継続的にデータで検証しながら改善を重ねていきます。データ分析でわかるのは相関関係だけなので、ビジネスに必要な因果関係を証明するには実験するしかありません。

内田:仮説はなんらかの作業を通じて検証可能なものでなくてはなりません。

仮説は検証することで、さらによい仮説に進化していきます。仮説→実験→検証を繰り返すことによって、個人や組織の能力は向上します。御社のように、仕事の中にこのプロセスを組み込むことができれば、比較的スムーズに業務改善を進めていくことができます。

土屋:ワークマンでは入社してすぐ店長になります。取扱製品が多いので1年目は覚えるだけでも大変ですが、2年目になると少し余裕が出るので、現場で仮説→実験→検証を行っています。

内田:どのように行っているのですか。

土屋:店長は毎月、データを見ながら小さな実験を繰り返します。

たとえば、売り場のディスプレイを変更し、その成果をデータで検証してレポートを提出します。AとB、どちらの製品を前に出したほうが売れるか。キャッチコピーAとBではどちらが販促につながるかなど、些細なことでもいいから仮説→実験→検証し、データ活用のレポートを書きます。それを分析チームのリーダーが読み、コメントをつけ、レポートの内容がいいと判断したら、より高度なものを教えています。

内田:仮説→実験→検証は、繰り返すほどいい。1つのサイクルでわかったことをもとに、さらに進化した仮説を立て、実験、検証。これを繰り返すことで、仮説はさらによくなる。仮説を進化させるには、仮説を立ててから検証までのサイクルタイムを可能な限り短時間に抑え、数多くの実験を繰り返すことがポイントになります。短時間内に行える実験回数が多ければ多いほど、仮説がプラスに検証される確率が高まります。立ち止まって考えるより、とりあえずの答えをもちながら実験することも有効です。

土屋:若手社員は常識にとらわれないのでさまざまな実験をしています。

WORKMAN Plusができるまで、ワークマンにはマネキンがなく、製品は棚から引っ張り出さないと見えませんでした。

そのとき、入社2年目の店長が、「この製品はマネキンに着せると売れるのではないか」という仮説を立て、実験を行いました。

上着はハンガーにかけ、ズボンの中に段ボールを入れて紐で吊るし、上下のコーディネートを目立つ位置に展示しました。

この実験は成功し、その製品は売れました。この結果は社内で共有され、WORKMAN Plusのマネキンにつながっています。