JA陥落 農業沸騰#9Photo:123RF,da-kuk/gettyimages

全国にある約580JAにおいて、金融事業の大幅減益への危機感が高まっている。実際に、農協界で絶大な力を持つJA京都中央会会長が「組合員の世代交代とテクノロジーの進化により、減収トレンドに拍車が掛かる」との見通しを語っている。特集『JA陥落 農業沸騰』(全21回)の#9では、JAグループの金融事業の弱体化を財務データからひもとく。(ダイヤモンド編集部 千本木啓文)

JA共済連と農中の没落の真因は
マイナス金利だけではない

 全国の農協の金融事業を統括するJA共済連と農林中央金庫(農中)は、「生保・損保大手」「日本を代表する機関投資家」などといわれるまでに隆々と発展してきた。

 その原動力になったのは、下部組織である農協の営業力だ。農協職員が安いコストで、津々浦々から保険契約や貯金を集めてきてくれたのだ。

 だが、共済連と農中の「最強のビジネスモデル」も曲がり角を迎えている。

 実際に、農協界で絶大な力を持つ「農協界のドン」ですら、その窮状に危機感を抱いている。JA京都中央会会長やJA共済連副会長などを務める中川泰宏氏が、JAグループ内部の研修会で「農協の金融事業がジリ貧になる理由」を説いているのだ。

 農協界の重鎮が語った衝撃的な減益シナリオを財務データでひもといた。