わたし、東大を目指します!

 返ってくる答えはみんな同じでした。「徳ちゃん、いったい何を言ってるの?」

 それからわたしの挑戦が始まりました。今まで勉強を疎(おろそ)かにしてきたわたしです。明らかに無謀でした。案の定、最初の受験には失敗し、わたしは1年の浪人生活を余儀なくされました。

 もともとわたしは、「暗記重視の勉強なんて意味がない」と思っていました。将来、何の役に立つかもわからない。それよりも、もっと複雑な内容を応用できる力を身につけなければ、と。

 しかし、現役のときのセンター試験の結果がさんざんで、挙げ句に2次試験にも落ちてしまったわたしは、考え方を180度変えたのです。

 暗記は、すべての学問のもとになっている。暗記をマスターしなければ、基礎にもその後の応用にも立ち向かえない。

 わたしは考え方を変え、暗記を重視した効率のよい勉強方法を探していきました。しかし、膨大な必須知識をムリに頭に詰め込もうとしたってなかなかうまくいきません。何とかして、楽しく覚えられるような方法を……と考えていきました。その結果、わたしは晴れて東大生になることができたのです。

 東大に入って知ったことは、東大生といっても小さいころからガリガリ勉強ばかりしてきた人たちばかりではないということ。さぞや分厚い眼鏡をかけた真面目な人がたくさんいるのだろうと思っていたのですが、友だちとの遊びや趣味を大事にしながら、暗記の方法を工夫し、決して多くない勉強時間の中で効率よく成果を出してきた人が大半だったのです。