本書では、わたしが駆使し、周りの東大生にも人気が高かった暗記の方法を公開したいと思います。これは、わたしが家庭教師や塾講師のアルバイトをしながら生徒たちに実践してもらい、成果が出た方法でもあります。実は暗記にはコツがあり、それさえマスターすれば誰でも暗記の達人になれることがよくわかるでしょう。
暗記力とは、誰もが持っている能力です。そもそも生まれたときから、わたしたちはこの力を使って失敗や成功の経験を覚え、生きる知恵を身につけて、いまに至っているのです。頭の良し悪しよりも、いかに暗記するか、が重要なのです。
そして受験はおろか、人生のどんな場面でも、暗記力は頭の回転だけでは処理できない部分を補ってくれます。頭が悪いから暗記ができないのではない。本当は頭脳で考える助けとして、暗記が大切なのです。
といっても、難しく思うことはありません。あなたは人生の楽しかった経験をちゃんと覚えていますよね?
そんなふうに、わたしたちは楽しいことや嬉しいことをきちんと覚えているものです。だから、あなたが暗記すること自体を“楽しい”と思えるようになれば、力は自然とついてきます。
本書では主に、わたしの受験時代の経験をもとに、さまざまな暗記術を紹介していきます。文章は、いつも中学生や高校生たちに教えているように、簡単でわかりやすい言い方をするように気をつけました。
もちろん、ここに載っている方法がすべてではありませんし、人によって向き不向きの分かれるものもあるでしょう。ただ、受験生に役立つ方法は、いうなれば資格試験でも入社試験でもあらゆるところで応用できます。受験生に限らず、幅広い年齢・立場の方に参考にしていただきたいと思っています。どうか、気軽にスタートしてみてください。
しがない方法論を説いた本書ですが、これが少しでもみなさんのお役に立ち、目標を実現する手助けになればそれ以上嬉しいことはありません。