リモートワークにも適した方法

――『リーダーの仮面』では、識学を用いたマネジメントはリモートワークとも相性がいい。そんな話もされています。それはどういった理由からでしょうか?

安藤:識学では「シンプルに結果で評価する」もっと言えば「結果でしか評価しない」「プロセスを見ない」が前提なので、リモートワーク中に何をしていようが、結果さえ出してくれれば関係ありません。

 そういう意味で、リモートワークと相性がいいでしょうね。

 また、部下やメンバーが「何をすればいいのかわからない」という状態では困りますけど、そもそも「迷わせない」が識学のマネジメントの基本です。

 そこもリモートワークとマッチングがいい理由に挙げられます。

――部下がサボっているかどうかを考えたりしませんか?

安藤:気にしたことは一度もありません。リモートワークに限らず、「営業の人が外でサボっているんじゃないか」と心配どころか、気にしたこと自体、会社を作ってから一度もありません。すべては結果に表れますから

 もちろん「すべてをリモートワークにすればいい」と言っているのではなくて、人が集まって話したほうがいい場合もありますし、会社として一体感が必要なところもあります。

 リモートという形にこだわっているわけではなく、むしろ、形は何でもいいんです。

――「結果」だけを見ることで、他にどんなメリットがありますか?

安藤:マネジメントする側は余計なことに気を取られる必要がなくなります。

 部下だって、上司の機嫌を伺ったり、やる気をアピールしたり、好かれようとするムダなコミュニケーションに煩わされることなく、自分の仕事に集中することができます

 私は私の仕事に集中できますし、マネジャーはマネジャーの仕事に集中できるわけです。

 理論や方法論だけを知ると「冷たい、厳しい」という反応もありますが、実際にやってみると「楽になった」「楽に成果が出せるうようになった」という反応が圧倒的に多いのは、そのためだと思います。

部下のメンタルを追い詰める「ダメな上司」の特徴安藤広大(あんどう・こうだい)
株式会社識学 代表取締役社長
1979年、大阪府生まれ。早稲田大学卒業後、株式会社NTTドコモ、ジェイコムホールディングス株式会社を経て、ジェイコム株式会社(現:ライク株式会社)にて取締役営業副本部長を歴任。2013年、「識学」という考え方に出会い独立。識学講師として、数々の企業の業績アップに貢献。2015年、識学を1日でも早く社会に広めるために、株式会社識学を設立。人と会社を成長させるマネジメント方法として、口コミで広がる。2019年、創業からわずか3年11ヵ月でマザーズ上場を果たす。2021年1月現在、約2000社の導入実績がある。主な著書に『リーダーの仮面』がある。

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部下のメンタルを追い詰める「ダメな上司」の特徴