問題に名前をつける
「外在化」の意義

──「2 on 2」では、もう一つ「妖怪探し」というとてもユニークな手法が出てくるのですが、これについて解説していただけますか。

宇田川:「2 on 2」では、「何が問題だろう?」とか、「その問題って、どうして起こっているんだろう?」と、問題が発生したプロセスに意識が向いていく仕組みになっています。

 すると、「こういう行動がよくないよね」と、自然と問題行動が浮かび上がってくるのです。そのときに、行為や行動に名前をつけてみる。

 この本の中ではそれを「妖怪探し」と呼んでいます。これも、先のべてるの家の当事者研究から学んだ方法でした。

──これは非常に面白いと思ったのですが、
「妖怪探し」をする狙いは何ですか?

宇田川:一つには「笑いを大切にする」ことです。

 たとえば、あるプロジェクトで、みんながリーダーに気を遣って言いたいことが言えない、という問題行動が浮かび上がってきた。同時に、リーダー自身も言うべきことをきちんと伝えられていない。そんな問題が見えてきた場面を思い浮かべてください。

 でも、問題行動が浮かび上がっているだけでは、かたい雰囲気になってしまいます。そのことで、見えることが限定されてしまうのです。

 そこで、このチームでは問題行動に「ソンタック」という名前をつけたのです。そして、その生態を研究することができるようになります。

「忖度する」という言葉を、市販の風邪薬みたいに名づけたら、どうなるか。少し笑えますよね。そうすると、「問題を解決しなければ」という肩の力が少し抜けて、問題と距離を取って見ることができるようになりますね。

「ちょっと笑える名前」をつけておくと、今後、同じような問題行動が出たとき、「また、ソンタックが出ちゃったよ~」「ソンタックが暴れてるね!」と言いやすくなります。問題がだいぶ立体的に眺められますよね。そうすると、問題行動をどうするかと考えていたときとは少し違った手立てが見えてくることもあるんです。

 もう一つの狙いは、「問題を一度人から切り離す」ことです。

 問題行動が浮かび上がると、その行動をしている人自身に焦点が当たりがちです。そうなると、「おまえが悪い」「あの人は、すぐそれをやっている」という犯人探しになってしまうことがあります。

 でも、それでは問題のメカニズムを解き明かすよりも前に、解決へと考えがすぐに移ってしまいます。

 ここで、問題に名前をつけることで、人と問題を切り離すことができる。専門的には「外在化」という方法です。外在化することで、問題と人の間に距離が生まれ、メカニズムを解き明かす余地ができます。

「その人に問題がある」ではなく、「どんなときに問題が出てくるのか」に着目することができる。これも大事なポイントです。

小さな事件を<br />重大事故にしない <br />できるリーダーの新しい習慣<br />【2 on 2】の対話法