複雑な組織の慢性疾患に
根気よく取り組み続ける

──『組織が変わる』を読んでいると、とりあえず「2 on 2」をやってみたいなという気持ちにすごくなるのですが、「2 on 2」を実施するにあたって気をつける点はありますか?

宇田川:これは『組織が変わる』の第6章「2 on 2を実施する際にやってはいけない6つのこと」で詳しく書きましたが、困っている本人が当事者役本書でいう「A役」)になることが大切です。

 よく、上司が部下に対し、「あなたは業績が上げられず問題があるから、あなたについて話そう」と言い出すことがありますが、これは絶対にダメです。

 この状況で、困っているのは部下ではなく、上司だからです。

 このケースなら、上司自身が「部下の業績が上がらずに困っている」と当事者役で話を始め、「そこで起こっている問題って、結局何だろう?」「どういうパターンでその問題が生じているのだろう?」と考えていくと、いろいろと手立てが見えてきますよね。

 誰かを無理やり連れてきて、その人を当事者役として話を始めてはいけない。
 その行い自体が、「これが問題だ」という前提で行われているから、対話の場において語れることを限定してしまっているからです。

 それと「一回でスッキリしようとしない」という点も大切です。

「2 on 2」は1時間くらいで気軽にできる新しい対話の方法です。
 場合によっては、もっと短い時間でできます。

 ただし、一回の対話でスッキリするかと言えば、そんなことはまずありません。

 組織の慢性疾患とは、そもそも、何が問題かよくわからない状況で、どうすればいいかわからないことばかりです。

 1時間なら1時間と区切って「2 on 2」をするのは大切ですが、たった一回でスッキリしようと思わないことも、同じように重要です。

 大事なのは、そうしたやりとりを何度も続けていくことです。

 1回目は「なんか、モヤモヤするね」ということがわかるだけで十分です。

 問題解決モードにならないことでより問題理解が深まりますから、最初のほうはモヤモヤすることもあるとは思います。

 でも、それこそが「問題は一体何か」を探っていく対話の姿なのです。

【「だから、この本。」大好評連載】

<第1回> あなたの会社を蝕む6つの「慢性疾患」と「依存症」の知られざる関係
<第2回>【チームの雰囲気をもっと悪くするには?】という“反転の問い”がチームの雰囲気をよくする理由
<第3回> イキイキ・やりがいの対話から変革とイノベーションの対話へ!シビアな時代に生き残る「対話」の力とは?
<第4回> 小さな事件を重大事故にしないできるリーダーの新しい習慣【2 on 2】の対話法

<第5回> 三流リーダーは組織【を】変える、一流リーダーは組織【が】変わる

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